2003 Fiscal Year Annual Research Report
イヌにおける遺伝性心筋症モデルの確立とイミダゾリン受容体作用薬の有用性
Project/Area Number |
14560266
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
日笠 喜朗 鳥取大学, 農学部, 教授 (30165071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 剛仁 鳥取大学, 農学部, 助教授 (70273901)
山野 好章 鳥取大学, 農学部, 助教授 (00182593)
松田 浩珍 東京農工大学, 農学部, 教授 (80145820)
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Keywords | イヌ / 血小板 / 拡張型心筋症 / イミダゾリン受容体 / 循環器 / 遺伝 / カルニチン / タウリン |
Research Abstract |
本年度ではイヌ血小板におけるイミダゾリン受容体の解析およびイヌにおける遺伝性拡張型心筋症の病態を解析した。その結果、イヌ血小板にはイミダゾリン(I)受容体が存在し、I_1とI_2の少なくとも2つの受容体サブタイプが存在することを証明した。この内、I_1-受容体はGTP結合蛋白と共役している受容体であり、血小板凝集に対して抑制的な作用に関与していることが示唆され、血管拡張にも関与していることから、I-受容体作用薬の血栓症や循環器疾患への有用性が考えられた。一方、昨年度に継続して、アメリカン・コッカー・スパニエルにおける拡張型心筋症の病態と発症過程を明らかにするために、拡張型心筋症の家系から得られたイヌにおいて、血液生化学、レントゲン、心電図、超音波検査をおこない、対照犬との比較検討を行った。その結果、家系犬における心電図、X線検査にて両心室拡大の所見が認められ、超音波検査より左室収縮率の低下および左心室壁の菲薄化が認められたことから、臨床的に心筋症を発症したと判断された。心筋症の発症にタウリンやカルニチンの関与が指摘されているため、本家系においてそれらの血漿濃度を調べたところ、カルニチン濃度において低値を示す個体があったものの、発症犬においては正常範囲であり、また、発症犬を含む家系犬では組織カルニチン含有量においては低値を示さなかったことから、カルニチンが心筋症の本質的な発症原因ではないと考えられた。血漿タウリン濃度は発症犬で低下が認められたこのことから、タウリンと心筋症の間に何らかの関連性が考えられた。今後は、拡張型心筋症モデルへの確立に向け、さらに交配を重ね、上記検査に組織学的検索や遺伝子解析を加えてその発症過程の詳細を検討するすると共に、その改善薬としてのイミダゾリン受容体作用薬の有用性を検討していく予定である。
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[Publications] Tamas Ambrisko: "The antagonistic effects of atipamezole and yohimbine on stress-related neurohormonal and metabolic responses induced by medetomidine in dogs"Canadian Journal of Veterinary Research. 67・1. 64-67 (2003)
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[Publications] Tamas Ambrisko: "Hormonal and metabolic effects of medetomidine and xylazine in dogs."Hungarian Veterinary Journal. 125・4. 219-223 (2003)
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[Publications] Tamas Ambrisko: "Hormonal and metabolic effects of atipamezole and yohimbine in dogs sedated with medetomidine."Hungarian Veterinary Journal. 125・6. 346-350 (2003)