2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14560286
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
宇井 定春 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (80115310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠木 正巳 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (90135749)
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Keywords | 2,3-butanediol / acetoin / 2,3-butanediol dehydrogenase / stereospecificity / chiral / short chain dehydrogenase / reductase family / X-ray crystallography / protein engineering |
Research Abstract |
実施内容: 酵素の基質特異性および安定性における分子進化を解明すべく、互いに類似構造を持つshort chain dehydrogenase/reductase (SDR)酵素であるmeso-2,3-butanediol dehydrogenase (BDH)とL-BDHについて、前年度の結果を踏まえ、その構成ドメインの互いの比較交換、活性部位およびその近傍のアミノ酸残基の比較交換を中心に多数の変異体を作成した。次に一部の変異体の結晶構造解析を行うとともに、様々な変異の立体構造に及ぼす影響を主に分子計算手法により解析した。更に、その基質特異性および酵素速度論パラメーターに及ぼす影響を解析した。これらの結果を得て、L-BDHからmeso-BDHに至る分子準化を酵素機能の面から推察した。 研究成果: 主に下記の1)〜7)の項目に関して興味ある成果が得られた。即ち、1)Km値に寄与する残基、2)基質特異性に関与する残基、3)長鎖基質の認識機構に関する解析、4)基質3R位における脱水素反応機構解析、5)2-mercaptoethanolの拮抗阻害定数からの基質認識機構解析、6)変位部位のVmaxへの影響解析、7)安定性へ寄与する構造解析についてである。これらの解明情報を利用することにより、構造面から酵素の性質を改善した。即ち、不安定なwild-type L-BDHに代え、新たに高安定性を持った改変体L-BDHを作成することに成功した。また、これらの成果はBDHと類似構造を持つ他のSDR酵素への合目的改変の指針となる基礎的データを提供した。 以上の知見の応用面として、タンパク質工学的に安定性を付与したL-BDHを利用して、これまで効率的な調製方法が成されていないL-BDの調製を行った。即ち、既知のmeso-BDHに付随するdiacetyl reductase活性と改変体L-BDHを形質転換大腸菌において同時に発現させることにより、基質として添加したdiacetylより約80%の変換率で数千ppmオーダーでの生産が可能になった。
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