2003 Fiscal Year Annual Research Report
上皮内niche(幹細胞成育微小環境)の形態学的解析と再構成系確立への試み
Project/Area Number |
14570006
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
人見 次郎 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00218728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 茂樹 新潟大学, 医学部, 教授 (10018765)
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Keywords | 組織幹細胞 / 細胞マーカー / モノクローナル抗体 / 食道上皮 / 表皮 / 肝細胞 / 再生 / 血管 |
Research Abstract |
上皮内niche(幹細胞成育微小環境)の形態学的解析:組織幹細胞マーカー分子同定の重要性は再生医学,がん研究にとって想像に難くない.しかし,現在進められているマーカー分子の解析は,組織細胞の場合でも,血液細胞の例にならったFACS解析が主流であり,培養というバイアスを経た初代培養細胞等を用いてphenotypeの解析が行われている.一方,申請者は組織内の増殖細胞と分化細胞の局在を明らかにして,食道上皮幹細胞の存在領域を抽出,その領域の細胞集団に対するモノクローナル抗体を作製・解析し,マーカー分子を特定しようと試みている.結果,幹細胞のcandidateのphenotypeがS100A6+,S100A12-,S100P-,H10+,F4-であることを明らかにした.H10抗体は食道上皮の乳頭間領域の基底細胞を認識する.また,F4抗体は上皮細胞の分化過程のごく初期から発現される分子を認識している.我々の手法は非効率ではあるが,直接的に上皮幹細胞の特性を理解することができる有効な手段といえる。現在,これらの抗原分子AgH10とAgF4の一次構造の解析を行っている. 表皮についてもH10+F4-細胞が表皮内niche領域に一致して存在することを確認した.また,この領域にはBc111b発現細胞が優勢に存在していること,Bc111b^<-/->マウスの表皮形成に異常を来たすことを発見した.Bc111bの発現は食道上皮には認めない.表皮幹細胞に特異的に発現する遺伝子の一つと思われる. 上皮組織の完全再構成系の確立:上記F4抗体はほとんどの肝細胞を認識するが,ごく小数の細胞は認識されない.これらのF4(-)細胞の特性を解析する目的で,昨年度樹立したニワトリ胚漿尿膜移植法により,肝細胞の再構成能を検討した.生後3-4wksのラット肝を2mm大のブッロクに細切し,ニワトリ胚の漿尿膜上に移植した.ほとんどの例では肝細胞は生着することなく,壊死に陥った.しかし,2例で,新生血管周囲に房状に増生する肝細胞群を認めた.この研究過程で,体外での組織再構成の可能性が見出されたとともに、その基盤として血管形成がきわめて重要であることを認識した.
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Research Products
(1 results)