2002 Fiscal Year Annual Research Report
全胚免疫・分子組識化学的染色による神経系、血管系と内臓の形態形成の三次元的解明
Project/Area Number |
14570008
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 重徳 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60004660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
易 双勤 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70334753)
下川 隆 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70302841)
中谷 壽男 金沢大学, 医学部・保健学科, 教授 (60198124)
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Keywords | ヒト / 脊椎動物 / 発生 / 末梢神経 / 血管 / 内臓 / 免疫組織化学 / 分子組織化学 |
Research Abstract |
ジャコウネズミ成体における自律神経分布形態に関して、免疫組織化学的に分布神経を染色することによって、膵臓に分布する神経の形態の詳細を明らかにすることが出来た。自律神経分布を論文投稿し、Anatomical Record(米国)に受理された。この実験動物はヒトの胚における背側と腹側の膵臓原基の形態を成体においても維持していることが判明した。向後の発生学的研究の出発点となった。 ヒトの成体の腹部臓器と横隔膜を0.001%アリザリンレッド含有95%アルコールに約5日間保存し、染色・脱脂肪を行なった後に、実体顕微鏡下で精密に解剖し、自律神経の形態の詳細を明らかにしたところ、他の脊椎動物の場合と同様に、横隔神経の枝が肝臓の無漿膜野から肝臓内に進入すること、交感神経の枝が大静脈溝から肝臓静脈に伴って肝臓内に進入することが初めて判明した。可及的に早く発表する予定である。 ヒトの成体の心臓に分布する迷走神経と交感神経の形態に関しては、精密な解剖が困難とされてきていたが、上記の0.001%アリザリンレッド含有95%アルコールで染色・脱脂肪を行なった後に解剖することで解決することが出来た。この研究手技により、ヒトの成体の心臓に分布する迷走神経と交感神経の形態の全体を明らかにすることが出来た。とりわけ、交感神経の枝に関しては、心臓静脈門から心臓に到達する新たな枝を見つけ、その形態を前例が無いほどに詳細に明らかにした。同様なことはジャコウネズミの成体においても、同様な結果を得ている。現在のところ、ヒトと他の脊椎動物に心臓神経の名称に混乱があるが、解決することが出来たので、心臓をも含めて、心臓と血管及び内蔵の形態形成に関する研究を自信をもって進める計画である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yi SQ, Shimokawa T, Akita K, Ohta T, Miwa K, Tanaka S.: "Anatomical study of the pancreas in the house musk shrew, Suncus murinus, with special reference to the blood supply and innervation"Anatomical Record. (In press). (2003)
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[Publications] Ohta T, Kitagawa H, Kayahara M, Yi SQ, Miwa K, et al.: "Sentinel lymph node navigation surgery for pancreatic head cancers"Oncology Reports. 10. 315-319 (2003)
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[Publications] Ohta T, Elaemy A, Ymamoto M, Yi SQ, Miwa K. et al.: "Thiazolidinedione, a peroxisome proliferator-activated receptor-γ ligand, modulates the E-cadherin/β-catenin system in a human pancreatic cancer cell line, BxPC-3"International Journal of Oncology. 21. 37-42 (2002)
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[Publications] Shimokawa T, Akita K, Satot, Ru Fei, Yi Shuang-qin, Tanaka S: "The masseter and zygomaticomandibularis of suncus murinus"Okajimas Folia Anatomica Jpn. 79. 1-10 (2002)
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[Publications] Shimokawa T, Akita K, Sato T, Ru Fei, Yi Shuang-qin, Tanaka S: "Comparative anatomical study of the m.retractor bulbi with special reference to the nerve innervations in rabiitgs and dogs"Okajimas Folia Anatomica Jpn. 78. 235-243 (2002)
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[Publications] Akita K, Shimokawa T, Sato K, Sato T: "Cutaneous nerve to the subacromial region originating from the lateral pectoral nerve"Annals of Anatomy. 184. 15-19 (2002)
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[Publications] 伊藤正男, 井村裕夫, 高久史磨: "医学大辞典"医学書院(2003年3月下旬発行予定). 3100 (2003)