2002 Fiscal Year Annual Research Report
視細胞杆体外節円板膜上の光刺激受容伝達マイクロマシーナリーの解析
Project/Area Number |
14570009
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西沢 祐治 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80252229)
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Keywords | tubulin / 視細胞 / 網膜 / 免疫細胞化学 / マイクロマシーナリー / マススペクトロメトリー / tau / ROS |
Research Abstract |
脊椎動物の視細胞杆体外節(ROS)は多数の膜性円板の規則正しい堆積から構成され、それらの円板膜が外節先端での廃棄と基部での生成を生涯繰り返している。この特殊で動的な構造を持つ外節円板膜上にはロドプシンをはじめとする光刺激受容伝達関連タンパク質群が無数に存在し、光を受容すると効率的な光刺激伝達カスケードが働く。このカスケード反応はきわめて短時間で起こるので、それらのタンパク質群を互いに至近距離に集積する足場となる構造関連タンパク質が存在し、光刺激受容伝達マイクロマシーナリーを形成しているはずである。このような課題のもとに本研究に着手した。具体的には以下の3つの方法によりタンパク質群の同定と局在を明らかにした。(1)免疫細胞化学によりラット・ウシ・カエルの各視細胞外節円板膜上に存在するtubulinα、β、γ、とtauの局在を解析した。それぞれのタンパク質は円板膜上に共局在し、光刺激受容伝達マイクロマシーナリーの足場となっている可能性を示した。(2)ウシ及びカエルの視細胞杆体外節(ROS)画分を界面活性剤で可溶化し、各構造関連タンパク質に対する抗体を用いて免疫沈降を行った。得られたタンパク質沈降物を光刺激受容伝達に関わるタンパク質をに対する抗体を用いてウエスタンブロットを行い解析した。その結果、tubulinαとグアニル酸シクラーゼ(GC)が結合していることが明らかにならた。すなわちtubulinαは円板膜上で光刺激受容伝達に関わるタンパク質であるGCと結合しマイクロマシーナリーの足場を形成していることが示された。(3)ウエスタンブロットで明らかにできなかった免疫沈降物をマススペクトロメトリーを用いて同定した。その結果、tubulin βとγの両方で共沈する40kDのタンパク質がannexinであることが明らかになった。AnnexinはF-actinと結合することが知られているが、ROSにおける役割は現在解析中である。以上の結果から、tubulinが光刺激受容伝達マイクロマシーナリーの足場を形成していることが初めて明らかになった。これは極めて新しい発見である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yuji Nishizawa: "Phosphorylation of cytokeratin 17 by herpes simplex virus type 2 US3 protein kinase"Microbiology and Immunology. 46. 707-719 (2002)
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[Publications] Yuji Nishizawa: "Mechanism of leflunomide-induced proliferation of mitochondria in mammalian cells"Mitochondrion. 2. 163-179 (2002)