2003 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓の糸球体濾過障壁をin vitroで再現する複合細胞培養系の開発
Project/Area Number |
14570015
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小林 直人 愛媛大学, 医学部, 助教授 (50234836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 正一郎 愛媛大学, 医学部, 助手 (60325371)
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Keywords | 腎臓 / 糸球体 / 糸球体濾過障壁 / 足細胞 / 内皮細胞 / 細胞培養 / 細胞骨格 / 細胞接着 |
Research Abstract |
腎臓で尿が生成される過程の第一段階は糸球体濾過障壁を介した選択的濾過であり、この濾過機能が破綻することが難治性慢性腎疾患の一因である。このような腎疾患の病態生理の解明およびその治療法確立のためには、信頼できる疾患モデルの確立が必要である。本研究では、新規の疾患モデルの構築のために、新しい内皮細胞の培養株と既存の足細胞培養株と組み合わせることで両者の複合培養系を確立し、「糸球体濾過障壁のin vitroにおける再現」を試みている。 糸球体濾過障壁を構成する細胞のうち、本研究の海外共同研究者らから供与を受けている足細胞(糸球体上皮細胞)の条件的不死化細胞株を用いて、突起形成を調節する細胞内シグナル伝達系について、低分子量G蛋白のRhoおよびその下流で働くキナーゼであるROCKの関与(=Rho-ROCK系による負の調節機序)を明らかにした(Gao et al.,2004,in press)。さらに、足細胞と神経細胞との比較に基づき異なる細胞間で共通する突起形成の分子機構について論じた(Kobayashi et al.,2004)。これは、個別的に得られた個々の知見を総合してより一般的な理論を導こうとするものである。また、Rho-ROCK系による細胞間接着の調節機構について、現在論文執筆のための最終段階の実験を行っている。Rho-ROCK系は最近、足細胞と内皮細胞とのクロストークにも関与していると言われ始めており、本研究にとって非常に重要な因子である。 糸球体内皮細胞については、トランスジェニックマウスの維持交配はルーチンに行われているが、糸球体からの細胞の分離に未だ改善の余地がある。細胞株の樹立は現在進行中である。 これらの結果は、国際学会である「世界腎臓学会議」(2003年6月、ベルリン、ドイツ)「アメリカ腎臓学会」(2003年11月、サンディエゴ、米国)、および国内の学会にて報告した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kobayashi N, Saito S, et al.: "Process formation of the renal glomerular podocyte : Is there common molecular machinery for processes of podocytes and neurons?"Anatomical Science International. 79・1(印刷中). (2004)
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[Publications] Gao S, Kobayashi N, et al.: "Rho-ROCK signal pathway regulates microtubule-based process formation of cultured podocytes -- inhibition of ROCK promoted process elongation."Nephron Experimental Nephrology. (印刷中). (2004)
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[Publications] Saito S, Kobayashi N, et al.: "Lectin-histochemical studies on the olfactory organ of the newt, Cynops pyrrhogaster."Anatomy and Embryology. 206. 349-356 (2003)
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[Publications] Miyawaki K, Kobayashi N, Saito S, et al.: "Distribution pattern of β-catenin during the early embryogenesis of the starfish, Asterina pectinifera."Development Growth and Ditferentiaion. 45. 121-128 (2003)
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[Publications] Shinomiya H, Kobayashi N, et al.: "Preparation and Characteriation of recombinant murine p65/L-plastin expressed in Escherichia coli and high-titer antibodies against the protein."Bioscience Biotechnology Biochemistry. 67. 1368-1375 (2003)
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[Publications] Gi DH, Kobayashi N, et al.: "Interferon-inducible protein 10 (IP-10/CXCL10) has a novel potential ability in maintaining podocyte function."Journal of American Society of Nephrology. 14. 3111-3126 (2003)
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[Publications] 小林直人, ら(分担執筆): "医学書院 医学大辞典"医学書院、東京. 3062 (2003)