2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570033
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
糟谷 清 福岡大学, 医学部, 助手 (10330911)
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Keywords | 卵胞 / マクロファージ / 果粒層細胞 / アポトーシス / モルモット / ヒト |
Research Abstract |
哺乳類の卵巣では、グラーフ卵胞(成熟卵胞)はその閉鎖過程で、果粒層細胞がアポトーシスにより死滅する。その除去にあたって卵胞内のマクロファージが関与することを、さきにわれわれはモルモットにおいて示した(Kasuya,1997)。一方でまた、マクロファージは発育中の卵胞内にすでに存在していた(Kasuya & Kawabuchi,1998)。 本研究ではまず、次の2点を本年度の目的とした。(1)モルモットで認められたような卵胞内におけるマクロファージの動静は、ヒトでも同様か?(2)マクロファージはいかにして卵胞内に侵入するのか? 目的(1)について【方法】大学病院にて病理診断に供されたヒト卵巣の組織標本(H-E染色)を観察し,正常な組織部分における卵胞を検索した。【結果】(1)閉鎖したグラーフ卵胞では、果粒層細胞は形態的にアポトーシスの像を呈していた。(2)これら果粒層細胞の残骸を、大型の細胞がたべこんでいた。(3)発育中の卵胞内に、少数ではあるが大型で丸い細胞が認められた。【考察】卵胞内にみられたこれら大型の細胞は、その形態よりマクロファージであろうと考えられた。ヒトでも、卵胞の動態(発育や閉鎖)にマクロファージが深く関わっていることが示唆された。 目的(2)について【方法】約16日間の発情周期(性周期)の各時期にあるモルモットの卵巣を、透過電顕により検索した。【結果】発情後期において、発育中の卵胞周囲の基底膜の一部が、内側に向かって貫通していることを示唆する像が観察された。またその卵胞内には、リソゾームを豊富に含む高電子密度の卵円形の細胞が認められた。【考察】形態的に単球とみられるこの細胞は、排卵から2-3日経過したこの時期(発情後期)において、発育中の卵胞内に卵胞膜側から基底膜を破って侵入するとの可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)