2003 Fiscal Year Annual Research Report
視交叉上核ニューロンにおける[Cl^-]_iの周期変動解析
Project/Area Number |
14570056
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Research Institution | HAMAMATSU UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
岡部 明仁 浜松医科大学, 医学部, 助手 (10313941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮫島 道和 聖隷クリストファー看護大学, 看護学部, 教授 (80135251)
福田 敦夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50254272)
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Keywords | 視交叉上核 / 外側膝状体 / 大脳皮質視覚野 / Cl^-ホメオスタシス / Cl^-イメージング / GABA / NKCC1 / KCC2 |
Research Abstract |
哺乳動物における時計機構の中枢である視交叉上核(SCN)には網膜-視床下部路を介したGABA作動性の入力が見られる他、外側膝状体-大脳皮質視覚野といった視覚の入力経路においても多数のGABA作動性の神経細胞が存在し、各神経核の発火頻度の調節をしていると考えられている。加えて、SCNニューロンでは昼夜でGABA作用が逆転している可能性があるという報告があり、その作用が抑制性だけでなく逆に興奮性にも働きうると考えられる。これはシナプス後ニューロンにおける[Cl^-]_iの変動がキーポイントとなる。本年度は、SCN、外側膝状体、大脳皮質視覚野の[Cl^-]_iが昼夜で変動することを検討した。加えて暗闇飼育により視覚入力を遮断したラットにおいて正常状態と比較し、[Cl^-]_i及びGABAに対する応答の変化、Cl^-トランスポーターmRNAの発現変化についても検討した。 1.Cl^-ホメオスタシスの日内変動とその調節因子のCl^-イメージングによる検討[鮫島・福田] 本研究で注目しているCl^-トランスポーターがペプチド性物質であるvasopressinなどで調節を受けることが腎臓などで報告されており、Cl^-感受性蛍光色素の6-methoxy-N-ethylquinolinium iodide (MEQ)を用いたイメージングによりその影響を検討した。その結果、主観的夜においてSCNの[Cl^-]_iは高く、vasopressinがこれを減少させることが示唆された。 2.暗闇飼育下におけるCl^-ホメオスタシス調節遺伝子の発現及びGABA応答の変化[岡部] 暗闇下で飼育し視覚入力を遮断したラットを使用し、Cl^-ホメオスタシス調節遺伝子の発現変化をin situ hybridization組織化学法を用いて検討した。その結果、外側膝状体及び大脳皮質視覚野におけるCl^-トランスポーターの発現について左右差は認められなかった。 3.SCN、外側膝状体、大脳皮質視覚野の発達過程におけるCl^-ホメオスタシス調節遺伝子の発現及び細胞内Cl^-濃度の変化[岡部・鮫島] 視覚の入力経路である外側膝状体の発達過程において、細胞内にCl^-を取り込むNKCC1遺伝子及びCl^-を排出するKCC2遺伝子の発現量に変化は認められず、生直後から[Cl^-]_iは約13mMと低く保たれており、GABAに対して興奮性を示さなかった。また、大脳皮質視覚野においては発達に伴いNKCC1遺伝子の発現量は減少し、KCC2遺伝子の発現量は増加した。Cl^-イメージングの結果、この領域[Cl^-]_iは生直後、約28mMと高くGABAに対して興奮性を示したが、生後28日では約6mMと低くGABAに対して興奮性を示さなかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Shibata S, Kakazu Y, Okabe A, et al.: "Experience-dependent changes in intracellular Cl^- regulation in developing auditory neurons."Neuroscience Research. 48. 211-220 (2004)
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[Publications] Okabe A et al.: "Homogenous glycine receptor expression in cortical plate neurons and Cajal-Retzius cells of neonatal rat cerebral cortex."Neuroscience. 123. 715-724 (2004)
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[Publications] Okabe A et al.: "Changes in chloride homeostasis-regulating gene expressions in the rat hippocampus following amygdala kindling."Brain Research. 990. 221-226 (2003)
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[Publications] Ikeda M, Toyoda H, Yamada J, Okabe A, et al.: "Differential development of cation-chloride cotransporters and Cl^- homeostasis contributes to differential GABAergic actions between developing rat visual cortex and dorsal lateral geniculate nucleus."Brain Research. 984. 149-159 (2003)
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[Publications] Toyoda H, Ohno K, Yamada J, Ikeda M, Okabe A, et al.: "Induction of NMDA and GABA_A receptors-mediated Ca^<2+> oscillations with KCC2 mRNA downregulation in injured facial motoneurons."Journal of Neurophysiology. 89. 1353-1362 (2003)