2003 Fiscal Year Annual Research Report
超高磁場MR装置を用いた非侵襲的ヒト深部温度の評価
Project/Area Number |
14570067
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
吉岡 芳親 岩手医科大学, 医学部, 講師 (00174897)
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Keywords | magnetic resonance / spectroscopy / temperature / human / MRS / 磁気共鳴スペクトロスコピー / 深部体温 |
Research Abstract |
人体用3テスラの超高磁場MR装置を用いて、非侵襲的なヒト深部体温の計測を試みた。 1.測定精度の検討 磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)を用い、健康成人ボランティアを対象として、磁気共鳴信号取得時の最適パラメーターの検討や温度の精度の検討とともに、空間・時間分解能に検討を加えた。脳と下腿部においては、比較的良好な精度で体内深部温度の計測が可能であった。同一健康成人ボランティアの大脳深部白質での繰り返し測定では、関心領域と積算時間を8mLと4分とした場合、生理的な変動を考慮する必要があるが、再現性は0.2℃以内と考えられた。また、この精密さで経時的な深部温度の追跡・評価も可能であると考えられた。下腿部では、体動やそれに伴う血流の変動を考慮する必要が有ると思われたが、やや精度が低下した。 2.体内深部温度の比較 男性の脳では、深部白質よりも前頭葉の温度が有意に低い傾向が見られたが、女性では有意ではなかった。また、男性の深部白質の温度は、鼓膜温と相関したが、女性では相関が見られなかった。下腿部では、温度分布の計測と共に、環境温の影響を調べることができた。室温環境下における下腿部内部では、少なくとも2℃程度の温度差があること、また、表面に近い腓腹筋付近では、環境温の影響を反映した温度変化が見られるが、中心付近のヒラメ筋では、殆ど温度変化が無いことが分かった。 3.結語 高い精度での温度測定が可能な部位は、脳と下腿部であった。現段階では、空間・時間分解能はさほど高いとは言えないが、ヒトの脳や下腿部骨格筋での深部温度の再現性は十分と思われ、生理学的な部位差や変動を非侵襲的に評価できると思われた。 本年度の成果の一部として、国内学会が3件、学術雑誌が1件として発表した。
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Research Products
(1 results)