2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570092
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
松村 靖夫 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (40140230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高岡 昌徳 大阪薬科大学, 薬学部, 助教授 (50140231)
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Keywords | 腎臓 / 虚血 / 急性腎不全 / 酸化ストレス / 活性酸素 / 一酸化窒素 / NOドナー / ニトロチロシン |
Research Abstract |
本年は、腎虚血再灌流傷害と酸化ストレスとの関係について、NOドナーを用いながら検討を加えた。虚血再灌流を施した対照群では、sham群と比較して有意なBUN、Pcr、UFおよびFENaの増加とCcr、Uosmの減少が認められ、腎組織障害も観察された。対照群において認められた腎機能の低下並びに腎組織障害は、NOドナーのFK409後処置によって用量依存的かつ有意に増悪した。また、腎組織中O_2^-産生量は再灌流時間の経過に伴って増加したが、FK409を再灌流6時間後に後処置すると、増加したO_2^-が投与直後から一過性に消去された。さらに、再灌流24時間後の腎組織において、パーオキシナイトライト(ONOO^-)産生の指標であるニトロチロシンの形成を免疫組織化学的手法により測定したところ、対照群の尿細管細胞に認められるニトロチロシンの形成は、FK409の後処置によって更に増加した。したがって、FK409後処置の場合には、FK409から自発的に発生したNOがO_2^-と反応してONOO^-の産生を増加させ、その結果、虚血再灌流による腎障害の進展を増悪させるものと考えられる。一方、FK409前処置群では、虚血再灌流による尿細管細胞でのニトロチロシン形成は観察されなかった。また、O_2^-産生要因の一つである好中球の腎組織への浸潤に対するFK409前処置の影響について調べたところ、対照群では、再灌流6時間後にはすでに腎組織への好中球浸潤が観察されたが、この好中球浸潤はFK409前処置によって有意に抑制された。したがって、FK409前処置による好中球浸潤の抑制効果が、腎組織におけるO_2^-産生を低下させ、その結果、ONOO^-の産生を抑制していることが示唆された。外因性のNOは腎虚血再灌流障害の発症過程には防御的に作用するのに対し、進展過程では増悪因子として作用する可能性が示唆された。さらにこの障害の悪化には、ONOO^-産生亢進が関与すると考えられる。現在、腎虚血再灌流障害の発症因子としてのO_2^-産生の由来を明らかにすべく、NADPHオキシダーゼ触媒サブユニットgp91phox遺伝子欠損マウスを用いた検討を加えている。
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Research Products
(5 results)