2002 Fiscal Year Annual Research Report
効果器細胞由来ATPによる逆行性神経伝達抑制とその効果器保護作用に関する研究
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14570094
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
篠塚 和正 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (50117777)
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Keywords | ATP遊離 / 自律神経 / 神経伝達 / 低温 / 低酸素 / 低浸透圧 / プリン受容体 / シナプス前調節 |
Research Abstract |
ATPによる逆行性神経伝達調節機構を解明するために、今年度はプリン物質遊離機構の分布とその性質について検討し、以下の知見を得た。 1、ラット脳スライス標本、膵臓浮遊組織標本、肝臓スライス標本、腎臓スライス標本、前立腺標本、膀胱標本、心房標本、胸部大動脈リング標本、尾動脈標本、気管支平滑筋標本および胃条片標本において、電気的神経刺激(10Hz)により有意なプリン物質の遊離が観察された。その際のプリン物質の組成は、アデノシン>AMP≧ADP≧ATPの順であった。 2、上記全ての標本において、2-mSATP(100μM)刺激および低浸透圧刺激(200mOsm/kg)により、有意なプリン物質の遊離が観察された。その際の遊離プリン物質の組成は、電気刺激の場合と同様であった。 3、ラット胸部大動脈および尾動脈におけるプリン物質総遊離量は神経刺激の場合も2-mSATP刺激の場合も、尾動脈のほうが有意に大きかった。ノルアドレナリン(10μM)によるプリン物質の総遊離量も同様であった。ノルアドレナリンによるプリン物質の総遊離量は、低温状態下(18℃)で有意に増加し、特にアデノシンの遊離量が著しく増加した。一方、低酸素状態下においては総遊離量は低下したが、アデノシンの占める比率は増加した。 以上の結果より、神経刺激に応じた奏効細胞からのプリン遊離は、各臓器において普遍的に存在する機能であることが明らかにされた。さらにその遊離は環境の変化により変動することが明らかにされた。このことは、組織の環境変化は内因性ATP(P2受容体)およびアデノシン(アデノシン受容体)を介して、神経伝達を調節している可能性を示唆している。次年度は実験計画に、この点も含めて検討を進める。さらに、現在マイクロバイオスライサーを用いた超薄生切片における神経機能とATP遊離の画像解析が可能になったので、本研究にこの技術も応用する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shinozuka K. et al.: "Purinergic modulaion of vascular sympathetic neurotransmission"Japanese Journal of Pharmacology. 88. 19-25 (2002)
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[Publications] Tanaka N. et al.: "P2Y-receptor regulates size of endothelial cells in an intracellular Ca(2+) dependent manner"Life Science. 72. 1445-1453 (2003)