2003 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンとトリプトファンの動きからみた蛋白質の高次構造変化と機能との相関
Project/Area Number |
14570103
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長井 雅子 金沢大学, 医学部, 教授 (60019578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 博 金沢大学, 医学部, 助教授 (00225848)
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Keywords | チロシン / トリプトファン / 蛋白質の機能 / 高次構造変化 / 円二色性(CD) / ヘモグロビン / PI3K / 紫外共鳴ラマン |
Research Abstract |
これまでのヘモグロビン(Hb)の紫外CD(円二色性)や紫外共鳴ラマンの研究から、我々は四次構造変化にともなって変化するチロシン(Tyr)やトリプトファン(Trp)バンドを検出してきた。今年度はサブユニット接触面に位置し、酸素の結合・解離にともないサブユニット間水素結合が変化するのに関与するα42Tyrとβ145Tyrに変異を導入した。そして、四次構造変化に伴ってみられるラマンやCDの変化がどのTyrによるか検討した。両変異Hbはいずれも酸素親和性が高くなり協同性も低下したが、強力なアロステリックエフェクターであるInositolhexaphosphate(IHP)を加えると酸素親和性の低下がみられ有意に協同性の回復がみられた。その条件下でCDやラマンスペクトルをとり正常Hbと比べることにより、この両Tyrとも酸素結合・解離に伴う四次構造変化に深く関わっていることを明らかにした。 一方、情報伝達蛋白質の一つであるPhosphatidylinositol 3-kinase(PI3K)のSrc homology3(SH3)ドメインでは、プロリン残基を含むリガンドペプチドと結合すると紫外域のCDが上昇するため、その変化を利用して結合定数を求めることができることを見つけた。その変化はSH3の結合部位にあるTyrと考えられるが、7個あるTyrの内どのTyrが関与しているか分らなかった。そこで7個のTyrを一つずつフェニルアラニン(Phe)に置換した変異体を作成した。その7種の変異体のリガンドペプチドとの結合性、および構造変化をCDと共鳴ラマンで調べた結果、14位と73位のTyrが主として蛋白・蛋白間相互作用に関連していることが判明した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Jin, Y., Sakurai, H., Nagai, Y., Nagai, M.: "Changes of near-UV CD spectrum of human hemoglobin upon oxygen binding"Biospectroscopy. (In press).
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[Publications] Okishio, N., Tanaka, N., Fukuda, R., Nagai, M.: "Differential ligand recognition by Src and PI3K Src homology 3 domeinsC CD and UV resonance Raman studies"Biochemistry. 42・1. 208-216 (2003)
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[Publications] Nagatomo S., Jin, Y., Nagai M., Hori, H., Kitagawa, T.: "Changes in the abnormal α-subunit upon CO binding to the normal β-subunit of Hemoglobin M Boston"Biophysical Chemistry. 98. 217-232 (2002)
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[Publications] Nagatomo S., Nagai M., Shibayama, N., Kitagawa, T.: "Differences in changes of the α1β2 subunit contacts between ligand binding to the α and β subunits of Hemoglobin A"Biochemistry. 41・31. 10010-10020 (2002)