2003 Fiscal Year Annual Research Report
血管病変の発症進展におけるプロスタサイクリンとトロンボキサンの作用機序の解明
Project/Area Number |
14570115
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
横山 知永子 国立循環器病センター研究所, 薬理部, 室長 (90200914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈良場 博昭 国立循環器病センター研究所, 薬理部, 室員 (90296517)
波多江 利久 国立循環器病センター研究所, 薬理部, 室員 (10251026)
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Keywords | プロスタサイクリン / プロスタサイクリン合成酵素 / ノックアウトマウス / PPAR-delta / 炎症 / サイトカイン / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
プロスタサイクリン(PGI_2)とトロンボキサン(TX)は、アラキドン酸から産生される生理活性脂質である。これらは血小板の凝集、血管平滑筋の弛緩収縮、細胞の増殖制御など心血管系の恒常性維持に重要な役割を担っており、動脈硬化や心筋梗塞などの循環器疾患の要因として、PGI_2とTXのバランス異常が考えられている。申請者らは、これまでに血管壁の肥厚抑制に対するPGI_2の効果を示してきたが、その作用機序は未だ明らかではない。本研究は、これら生理活性物質のバランス異常がどのように循環器疾患の発症と進展に結びついているかを明らかにするために、血管病変に注目し、プロスタグランジン(PG)合成系酵素の遺伝子改変マウスや、過剰産生細胞を用いて解析を行った。昨年度にDNAアレイ解析により、PGI_2欠損マウスにおいて細胞外マトリックスや炎症に関与する遺伝子群の変動を見出していたが、本年度は、PGI_2合成酵素の過剰発現細胞を用いたアレイ解析により、PGI_2-PPARδシグナル伝達系に応答する候補遺伝子として、抗炎症性サイトカインの1つの遺伝子発現が上昇することを見出した(投稿中)。このサイトカインのヒト遺伝子5'上流の配列を調べたところ、PPAR応答配列に相同性を持つ繰り返し配列の存在が明らかになり、プロモーターアッセイの結果、この領域がPGI_2-PPARδによる発現誘導に必須な領域であることが明らかになった。さらに、細胞膜透過性を持つPGI_2アナログを血管内皮細胞の培養液中に添加すると、このmRNAレベルならびに産生が上昇した。これらの結果から、PGI_2による循環器系の恒常性維持や血管壁保護作用には、PPARδを介して抗炎症性に作用する伝達経路が大きく関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Wada, M., Yokoyama, C., Hatae, T.et al.: "Purification and characterization of recombinant human prostacyclin synthase."J.Biochem.(Tokyo). (in press). (2004)
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[Publications] Hiraoka, K., Koike, H., Yamamoto, S.Tomita, N., Yokoyama, C.et al.: "Enhanced therapeutic angiogenesis by cotransfection of prostacyclin synthase gene or optimization of intramuscular injection of naked plasmid DNA."Circulation. 108. 2689-2696 (2003)
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[Publications] Koike, H., Morishita, R., Iguchi, S., Aoki, M., Matsumoto, K., Nakamura: "Enhanced angiogenesis and improvement of neuropathy by cotransfection of human hepatocyte growth factor and prostacyclin synthase gene"FASEB J.. 17. 779-781 (2003)