2003 Fiscal Year Annual Research Report
慢性骨髄性白血病におけるヘム結合蛋白質HBP23の役割
Project/Area Number |
14570132
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
阿部 靖子 日本医科大学, 医学部, 講師 (60089612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 智裕 日本医科大学, 医学部, 助手 (20297930)
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Keywords | ラット / HBP23 / peroxiredoxin / チオレドキシン / c-Abl tyrosine kinase |
Research Abstract |
ヘム結合蛋白質HBP23は、peroxiredoxinファミッリーに属するラット由来の蛋白質である。Peroxiredoxinはシステイン残基を活性中心とする新しいタイプのperoxidaseであり、ジチオスレイトールまたはチオレドキシン存在下にその活性を示す。ヒトホモログは可溶性チロシンキナーゼc-Abl tyrosine kinase(約90%の慢性骨髄性白血病の原因は本遺伝子の変異とされている)や転写因子c-Mycと複合体を形成し、細胞質から核へ移行するとの報告がなされている。本年度我々は慢性骨髄性白血病の病因を明らかにすることを目的とし、HBP23の特性について検討を行い、以下の結果を得た。(1)HBP23、c-Abl tyrosine kinaseおよびチオレドキシンの野生型および変異型を大腸菌発現系より得た。(2)HBP23は単量体、2量体および10量体へ相互変換するとの結果を得た。この相互変換は本蛋白質の濃度、塩濃度および酸化・還元レドックスの影響を受けた。ラット肝由来HBP23においても同様の結果を認めたことから、生理的な役割を担っている可能性が示唆された。(3)HBP23・チオレドキシン複合体形成について検討し、HBP23173位およびチオレドキシン33位システイン残基間におけるS-S結合の関与が示唆された。HBP23多量体形成は、チオレドキシン存在下におけるperoxidase活性に明らかな影響はあたえないとの結果を得た。(4)現在HBP23・チオレドキシン複合体、HBP23・c-Abl tyrosine kinase複合体の結晶化を試みている。
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Research Products
(1 results)