2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570134
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小山 徹也 群馬大学, 医学部, 助教授 (50233622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 孝昭 群馬大学, 医学部, 講師 (90292581)
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Keywords | 乳癌 / 非浸潤性乳管癌 / 癌化 / 病理 / 異型乳管過形成 / 異型嚢状小葉 / ホルモンレセプター / AIB1 |
Research Abstract |
本年度は研究計画に述べたごとく、乳腺の切除材料やcore needle biopsy材料を主体に利用ホルモンレセプターとその関連因子、細胞周期関連因子発現検討をおこなった。特にp63や14-3-3σ蛋白に注目して検討した。(p63蛋白はp53蛋白と相同性を有し、p53に抑制的に働くsub〓がある。14-3-3σ蛋白はp53の下流にあり、G2細胞周期停止に関与する。乳癌においては両蛋白とも筋上皮細胞主体に発現するとの予備実験を終えており、乳癌細胞の分化に関係する可能性がある。ホルマリン固定パラフィン包埋切片を利用して、抗体は抗p63(NeoMarkers)及び14-3-〓(IBL)抗体を使用し、通常の切片に抗原活性化処置を行いABC法で染色した。) 低悪性度の非浸潤性乳管癌(DCIS)を主体に、特殊型を含めた浸潤癌や良性のcounterpartと乳頭腫(papilloma)の検討も行った。また各種keratin、ER、PgR、p53、cyclinD1などと対比検討した。 乳腺病変159例「乳頭腫26例、DCIS34例、浸潤癌99例(組織亜型では浸潤性乳管癌69、粘液癌9、髄様癌2、浸潤性小葉癌11、腺様嚢胞癌2、扁平上皮癌4、その他2)について検討した。p63、14-3-3σともに正常小葉の筋上皮細胞に存在した。14-3-3σ発現は、乳頭腫26例中8〓(31%)の一部の細胞(keratin14陽性細胞)に見られ、癌では非浸潤癌7/34(29%)、浸潤癌16/99(16%)と減少した。癌病巣において14-3-3σとERの発現が逆相関する傾向にあった。特殊型ではは腺様嚢胞癌、14-3-3σは粘液癌と扁平上皮癌で陽性となった。乳腺のpremature cell(stem ce〓の分化・増殖へのp63および14-3-3σの関与が示唆された。 今後はいよいよ低悪性度非浸潤性乳管癌に共存する異型嚢状小葉(ACL)異型乳管過形成(ADH)といった早期癌あるいは前癌病変を検索して、乳癌の初期病変の解析を深める予定である。さらにERβやEFP(estrogen responsive RING-finger protein)(いずれもパラフィン切片で染色可能なように予備実験を終えている)、またAIB1やSRC1といったホルモンレセプターやその関連因子(co-activator)の発現も加えて検討し、われわれの早期乳癌発生の仮説に関する検索を進める予定である。
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