2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570135
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鄭 子文 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90285768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深山 正久 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70281293)
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Keywords | 胃癌 / 11q15 / MUC / EBV |
Research Abstract |
本年度は胃癌手術検体を用いて、11p15に位置するMUC遺伝子群(MUC2,MUC5AC、MUC6)の発現を調べた。MUC遺伝子は胃の上皮によって発現が異なり、MUC2は腸上皮化生を伴った上皮(ゴブレット細胞)、MUC5ACは腺窩上皮、そしてMUC6は腺窩上皮および幽門腺上皮に発現することが知られている。まず、胃癌においてMUC遺伝子の発現プロフィールと臨床病理学的因子を比較検討した。胃がん手術検体74例のホルマリン固定パラフィンブロックより作成した切片を用いて、MUC2,MUC5AC, MUC6蛋白に特異な抗体を用いて、免疫組織化学的に検討した。これに加え腸上皮化生上皮に陽性となるCD10に対する抗体も用いて検討した検討した74例中MUC2に対する抗体では28例(38%)、MUC5ACでは42例(57%)、MUC6は28例(38%)に陽性所見を認めた。CD10は18例(24%)に陽性所見を認めた。臨床病理学的因子とこれらの結果を比較検討すると、組織型においてMUC5ACで分化型の腺癌に有意差は無いが多い傾向が認められた。また、EBV感染との強い相関が見られた。このため、MUC2またはCD10陽性のグループを腸型、MUC5ACもしくはMUC6が陽性のグループを胃型とし、両者が陽性のグループを混合型、両者が陰性のグループを分類不能型と分けると、EBV陽性の胃癌は18例認め、このうち7例(39%)が分類不能型で、9例(50%)は胃型を示した。EBV陰性胃癌では56例中胃型が17例(30%)、腸型が18例(32%)、混合型18例(34%)、分類不能型3例(5%>で、明らかにEBV感染陽性の胃癌では胃型もしくは分類不能型に多く、混合型も含め腸型の形質を示すことが低頻度であった。このようにEBV陽性の胃癌で特異な所見が見られた機序について、さらに検討を進める予定である。
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