2003 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスの病理的意義の追究とその病理診断への応用
Project/Area Number |
14570140
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
豊國 伸哉 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90252460)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽賀 博典 京都大学, 医学研究科, 助手 (10252462)
|
Keywords | 酸化ストレス / 鉄 / アネキシン2 / 発がん / 肺癌 / 腎癌 |
Research Abstract |
鉄ニトリロ三酢酸(Fe-NTA)をラットに腹腔内に反復投与すると、高率に腎癌が発生する。この発癌過程では鉄を介したフェントン反応が関与していること、癌の悪性度が高いことが特徴である。このモデルでDifferential Displayによるスクリーニングで得られたAnnexin 2(Anx2)の役割について動物モデル・試験管内の実験で詳細な検討を行い、次にヒトの癌の予後判定に役立つかどうかを手術標本を使用して検討した。ラット腎正常近位尿細管でAnx2蛋白を検出しなかったが、Fe-NTA投与6時間より、残存尿細管で高い発現を検出した。Fe-NTA反復投与後3週間ではkaryomegalic cellの胞体・核に集積を認め、腫瘍では主に細胞表面に陽性像を認めた。Anx2はSerとTyr残基がリン酸化され、リン酸化されたactinと共沈した。転移例の原発巣において高発現を認めた。高発現性Fe-NTA誘発腎がん由来細胞株にanti-sense投与するとapoptosisを起した。LLC-PK1ブタ尿細管細胞に過酸化水素により酸化ストレスをかけると発現が増加し、この誘導は抗酸化剤で抑制された。Anx2はがん遺伝子srcの基質として発見されたが、各種kinaseの基質でもあり、さらに線溶系分子の細胞表面受容体などの役割を担う。今回の実験でAnx2がレドックス制御を受けることを初めて示した。Anx2は、レドックス制御・キナーゼ系・線溶系の要となり、promotion, progressionの過程で重要な役割を果たすと考えられた。更にこの結果を踏まえて、ヒト肺癌の予後の検討を行った。Anx2の発現の高い肺癌は予後の悪いことが判明した。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Haga H et al.: "Periportal edema and necrosis as diagnostic histological features of early humoral rejection in ABO incompatible liver transplantation"Liver Transplantation. 10. 16-27 (2004)
-
[Publications] Hiroyasu M, Toyokuni S et al.: "Detection of glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase messenger RNA using peptide nucleic acid probe in paraffin-embedded archival specimens"Pathology International. in press. (2004)
-
[Publications] Tanaka T, Toyokuni S et al.: "Redox regulation of annexin 2 and its implications for oxidative stress-induced renal carcinogenesis and metastasis"Oncogene. in press. (2004)