2002 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-βシグナルによる標的遺伝子の転写調節とその異常
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14570208
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 光保 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (20194855)
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Keywords | TGF-β / c-myc / TIE / E2Fエレメント / smad / β-catemin / TBE3エレメント / TCF-4 / LEF-1 |
Research Abstract |
TGF-βによって増殖が抑制されるヒト角化細胞株HaCaTを用いて、CMVプロモーター活性によりc-mycを恒常的に発現した遺伝子導入株を樹立し、これがTGF-βの増殖抑制活性に耐性を獲得することを示した。次に、c-myc遺伝子転写調節領域の種々の変異レポーターを作成し、血清刺激によるc-mycの発現亢進とTGF-βによる発現低下に関わるTIE/E2Fエレメントを同定した。このエレメントには、E2F-4とRbファミリーのp130が結合するとともに、TGF-βシグナルによってSmad2,3,4も結合するなど種々のシグナルが集中するエレメントとなっていた。このエレメントを介する転写活性がc-myc複数の扁平上皮癌細胞で恒常的に活性化していることも見い出し、その分子機序をさらに解析している。 WNTのシグナル分子であるβ-cateninもc-mycの転写を亢進する。私達は、DNAアフィニティー沈降法、EMSA法とルシフェラーゼレポーターアッセイを用いて、この転写活性化がc-myc遺伝子の転写調節領域内の新規TCF/LEF結合配列を介して起こることを同定し、この標的配列にTBE3と名付けた。また、TCFファミリーの転写因子のうち正常大腸上皮で発現しているTCF-4がTBE3に結合している時には、TGF-βシグナルによってTCF-4からβ-cateninが解離し転写活性が抑制されるが、大腸癌で高頻度に発現が亢進しているLEF-1が作用している時には、TGF-βシグナルによってLEF-1からβ-cateninが解離せず、c-mycの転写抑制が起こらないことを示した。この領域を介する転写活性は大腸癌細胞で亢進していた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Sasaki et al.: "Lymphoid Enhancer Factor 1 Makes Cells Resistant to Transforming Growth Factor β-induced Repression of c-myc"Cancer Research. 63. 801-806 (2003)
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[Publications] Yagi et al.: "c-myc is a downstream target of Smad pathway"The Journal of Biological Chemistry. 277. 854-861 (2002)