2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570212
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大前 比呂思 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (90302405)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千種 雄一 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (20171936)
|
Keywords | 日本住血吸虫症 / 肝線維化 / 超音波検査 / プロコラーゲン-III-ペプタイド / IV型コラーゲン |
Research Abstract |
フィリピンの住血吸虫症浸淫地における研究で、日本住血吸虫症の肝線維化を評価するには、肝超音波検査と並んで、プロコラーゲン-III-ペプタイド(P-III-P)や、胆汁酸などの血清マーカーも有用であることがわかってきた(Ohmae et al. Am.J.Trop.Med.1992)。また、中国における調査では、肝線維化が進行した例を中心にヒアルロン酸が有用であることが報告されている。 今年度は、フィリピン、レイテ島のSchistosomiasis Research & Control Hospitalの受診者を対象として、P-III-PやIV型コラーゲン、ヒアルロン酸などの血清マーカーと日本住血吸虫症の病態との関連について検討した。虫卵陽性者177名のうち約70%の例で、P-III-PもしくはIV型コラーゲンが高値を示した。特に20才未満の例では、約90%の例で、基準値より高くなった。一方、ヒアルロン酸が高値を示した例は、約20%にとどまった。虫卵陰性者も含めて、Sensitivity, Specificityを考えると、P-III-PもしくはIV型コラーゲンが高値を示した例では、各々70%程度となった。また、各々の血清マーカーの値と、排泄虫卵数や肝臓の超音波所見の間には、明らかな相関はみられなかった。近年、集団治療の進捗によって、進行した肝線維化を示す例は減少しており、ヒアルロン酸よりも、P-III-P・IV型コラーゲンといったマーカーが、日本住血吸虫症の病態を早期から評価するのに適していると考えられた。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] 大前 比呂思, 朝日 博子, 千種 雄一, 松田 肇: "輸入感染症としての日本住血吸虫症をどう捉えるか"日本臨床寄生虫学会誌. 13巻・1号. 148-150 (2002)