2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570229
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
藤本 修平 群馬大学, 医学部, 講師 (90241869)
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Keywords | 腸球菌 / フェロモン / 接合伝達 / プラスミド / DNA結合 / ペプチド結合 |
Research Abstract |
(結果) (1)TraA蛋白の機能局在を明らかにするためにフェロモン依存接合伝達プラスミドpAD1及びpPD1のフェロモン結合-DNA結合蛋白TraAを融合したキメラ蛋白を作成し、それらのフェロモン結合能、DNA結合能をそれぞれPPAC法、DPAC法によって調べた。さらに、フェロモンの信号伝達能をDPAC法によって調べた。DNA結合には、N末端約150aaが、フェロモン結合にはC末端約150aaが必要であることが分かった。N末端30aaの置換、C末端40aaの置換はそれぞれ、DNA結合能、フェロモン結合能を変化させた。今回作成したキメラ蛋白は何れもフェロモンの信号伝達能を示さなかった。キメラ作成によって、信号伝達に必要なコンフォメーションが失われたと考えた。 (2)DPAC法によって、pPD1及びpAD1 TraAの結合DNA部位の解析を行った。これまでに、pPD1, pCF10において、複数のDNA結合部位が報告されていたが、pAD1においても、複数のDNA結合部位が観察された。これまでpAD1の唯一のDNA結合部位とされてきた部位は、単独ではDNA結合を示さないことも明らかになった。 (考察) フェロモン依存接合伝達プラスミドのフェロモン信号受容体蛋白であるTraAは、短縮蛋白が不安定であること、適当な変異蛋白が得られないことから、その機能局在が明らかにされていなかった。TraAがお互いに相同性を持ちながらフェロモン結合・DNA結合の特異性を持っていることを利用しキメラ蛋白を作成、機能局在を明らかにすることが出来た。今後、分子構造の予測と機能局在の関係が明らかにされれば、この蛋白の由来を知る手がかりになるだろう。これまで、TraAのDNA結合部位には共通の特徴がないとされてきたが、何れも、協同的に働く複数の結合DNA部位を持つという特徴が明らかになってきた。今後、さらに詳細に検討することによって、TraAの構造と結合DNA部位の構造の関係が明らかになると考えた。
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