2002 Fiscal Year Annual Research Report
臨床分離菌におけるメタロβ-ラクタマーゼ遺伝子の保有調査と院内感染対策
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14570235
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 秀郎 名古屋大学, 医学部, 教授 (90144162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 久美子 名古屋大学, 医学部, 助手 (30335054)
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Keywords | グラム陰性桿菌 / メタロβ-ラクタマーゼ / メルカプト酢酸ナトリウム(SMA) / 院内感染 / PCR法 / パルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE) |
Research Abstract |
1.平成13年度に引き続いて、愛知県下の主な病院で分離されたセフタジジムCAZ耐性(≧32μg/ml)グラム陰性桿菌102株を用いてメタロβ-ラクタマーゼ遺伝子の保有調査と院内感染対策を以下のように(1)量小発育阻止濃度(MIC)の測定、(2)メルカプト酢酸ナトリウム・ディスク法(SMAディスク法)によるメタロβ-ラクタマーゼ産生株の検出、(3)プライマーIMP-1、IMP-2を用いたPCR法によるメタロβ-ラクタマーゼ遺伝子の検出、(4)院内感染が疑われる菌株についてはパルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)を行った。その結果、SMAディスク法では被検菌102株中30株(29.4%)がメタロβ-ラクタマーゼ産生株であった。PCR法では産生株30株のすべてにIMP-1型メタロβ-ラクタマーゼ遺伝子の保有が確認された(Pseudomonas putida 12株、Serratia marcescens6株、Alcaligenes xylosaxidans6株、Acinetobacter baumanni3株、その他3株)。これは前年度に同様な方法で行った結果(23.0%)と比較すると確実に増加している。P. putida やA. baumanniiなどが増加傾向にある。今回Burkholderia pikettiiからも新たに同遺伝子が検出され、菌種・菌属を超えて着実にIMP-1型メタロβ-ラクタマーゼ遺伝子の保有率が年々高まっていることが明らかになった。 2.また、その中でA病院の泌尿器科病棟からのP.putidaが7株とも同遺伝子保有株だったのでPFGEを行ったところ、7株中6株が同一のDNAパターンを示し院内感染の可能性が示唆された。これらの患者はいづれも尿道留置カテーテル装着者であったが、筆者らの調査結果と助言に基づいて早速、消毒の徹底、尿バックやカテーテルの交換時期の短縮、治療抗菌薬の再吟味などの院内感染対策をとったところ大事に至らずに終息した。
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Research Products
(1 results)