2003 Fiscal Year Annual Research Report
リケッチア感染によるgp91^<phox>遺伝子発現の修飾機構の解析
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14570240
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Research Institution | The Institute of Tropical Medicine, Nagasaki University |
Principal Investigator |
中村 三千男 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (30091276)
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Keywords | リケッチア / Ehrlichia chaffeensis / 食細胞 / NADPHオキシダーゼ / 活性酸素 |
Research Abstract |
リケッチア,特にHME(Human Monocytic Ehrlichiosis-Ehrlichia chaffeensis) agentの感染が,食細胞系細胞の主たる防御機構である活性酸素産生機構の発現にどのような影響を与えるかを,主に転写レベルで解析し,以下の結果を得た. 1.HGE(Human Granulocytic Ehrlichiosis)agentが食細胞NADPHオキシダーゼをgp91^<phox>転写阻害を通して無する事とは全く異なり,HMEは単球の食細胞NADPHオキシダーゼを誘導する.2.gp91^<phox>,p47^<phox>,p68^<phox>に対する各遺伝子の発現をReal-time PCRとウエスタンブロットで検索したところ,感染1日目で前2者が,3日目で後者が有意に上昇していた.従ってNADPHオキシダーゼの誘導は,転写レベルで起こっている.予備実験ではgp91phoxの発現が低下しているように見えたが,これは感染によって宿主細胞が傷害を受けていた結果であることが判明した.3.THP-1細胞は幼若な分化段階にあるためか,食細胞NADPHオキシダーゼの構成要素ではp47^<phox>がE.chaffeensis感染ではたんぱく質レベルで検出できる唯一のものであった.4.誘導因子は,感染細胞の培地に遊離されており,その2/3は熱感受性であった.5.感染細胞由来のサイトカインは,食細胞NADPHオキシダーゼの活性誘導には関与していない.6.宿主細胞の無い条件でE.chaffeensisを培養した培地に誘導因子が検出できた.7.E.chaffeensisの超音波破砕上清に誘導因子が検出できた. 従って,ヒト宿主食細胞には,E.chaffeensisから遊離するグラム陰性菌の内毒素に相当する熱耐性因子と熱感受性因子に感応して食細胞NADPHオキシダーゼを転写レベルで誘導する機構がある.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Fujii, A.Kumatori, M.Nakamura: "SATB1 makes a complex with p30c and represses gp91^<phox> promoter activity"Microbiol.Immunol.. 47・10. 803-811 (2003)
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[Publications] M.Takata-Yahiro, Y.Fujii, et al.: "A novel GT-mismatch binding protein that recognizes strict DNA sequences with high affinity"Tohoku J.Exp.Med.. 200. 211-229 (2003)
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[Publications] 中村三千男: "好中球機能不全"臨床検査. 47・13. 1693-1701 (2003)