2002 Fiscal Year Annual Research Report
自己発動性組み換えインフルエンザウイルスによる細胞性感染制御因子の解析
Project/Area Number |
14570261
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀本 泰介 東京大学, 医科学研究科, 助教授 (00222282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 礼人 東京大学, 医科学研究科, 助手 (10292062)
五藤 秀男 東京大学, 医科学研究科, 助手 (50323639)
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Keywords | インフルエンザウイルス / リバースジェネティクス / ベクター |
Research Abstract |
インフルエンザウイルスが細胞に感染すると、細胞内で多数の子孫ウイルスが短時間で複製され、細胞外に放出されるが、ウイルス感染に伴う細胞応答、つまり様々な細胞性因子がこの一連の過程を制御している。この中では、シアル酸レセプターの解析などは精力的に行われているが、ゲノムRNAの転写複製、ウイルスのアセンブリーに関与する細胞性因子についてはほとんど分かっていない。本研究では、それら細胞性因子を同定解析する方法として、自己発動性組み換えインフルエンザの構築を考えた。これは、インフルエンザウイルスのゲノムに感受性細胞由来のcDNAをランダムに組み込んだ組み換えウイルスであり、このウイルスが細胞に感染すると、細胞内でその組み込んだ遺伝子から蛋白質が発現することを期待したものである。つまり、そういった組み換えウイルスを感染抵抗性の細胞に接種した時、ウイルスの複製に必要な細胞性蛋白質が発現した場合には、ウィルスが増殖するものと考えられる。つまり、ウィルスの複製に必要な細胞性蛋白質を網羅的に検索することが可能になる。この作業仮説の元、本年度は組み換えウイルスの構築に着手した。まず、ウイルスのHA分節にNA遺伝子を組み込み、リバースジェネティクスを行うと、そのキメラ分節は効率良く感染性ウイルス内にレスキューされることを発見した。つまり、このウイルスはNA分節を保持しないウイルスである。したがって、NA分節に細胞由来のcDNAを組み込み、発現させることが可能であると考えられた。現在、この組み換えNA分節の構築を進めるとともに、インフルエンザウイルスに対する感染非感受性細胞の選択を行っている。
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[Publications] Ito, T.: "Virulent influenza A viruses induce apoptosis in chicken"Virus Res.. 84. 27-35 (2002)
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[Publications] 堀本泰介: "香港トリインフルエンザ事情"インフルエンザ. 3(2). 64-67 (2002)
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[Publications] 堀本泰介: "インフルエンザ制圧をめざして"臨床とウイルス. 30(3). 139-146 (2002)
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[Publications] 堀本泰介: "ウイルスの病原性発現における糖蛋白質の役割"Molecular Medicine. 臨時増刊号39「2003」. 212-226 (2002)
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[Publications] 堀本泰介: "インフルエンザの流行学:新型インフルエンザの襲来はあるか?"臨床と研究. 79(12). 97-102 (2002)