2003 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス発がんに関与する宿主遺伝子の分子生物学的解析
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14570266
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森内 良三 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (60210142)
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Keywords | がん遺伝子 / Tgat / ATL / RECK / 浸潤能 / NF-κB |
Research Abstract |
成人T細胞白血病(ATL)腫瘍細胞内に存在するエピジェネティック・ジェネティックな変異を受けたがん関連遺伝子の単離を行なうために、新鮮ATL腫瘍細胞からレトロウイルス発現ベクターを用いて腫瘍細胞由来の発現cDNAライブラリーを作製した。個のライブラリーをNIH3T3細胞に導入することにより、フォーカス形成能、軟寒天中でのコロニー形成能、ヌードマウスにおける腫瘤形成能を有するがん遺伝子Tgat(Trio related transforming gene in ATL tumor cells)を分離することに成功した。TgatはATL腫瘍細胞に特異的に発現しており、HTLV-1感染細胞株や他の白血病細胞で発現していない。Tgatの構造は、神経軸索のガイダンスに関与するといわれているTrio遺伝子のRho GEFドメインに相当するエクソンとTrio遺伝子の下流に存在する新たなエクソンの選択的スプライシングにより構成されていた。変異体やキナーゼ阻害剤を用いた実験により、Tgatのがん遺伝子としての活性化には、Rho GEFドメインならびに選択的スプライシングの結果生じたC-末端領域の双方が必要であることを明らかにした。またTgatはNIH3T3細胞をトランスフォームさせるだけではなく、高い浸潤能を有することもマトリゲルを用いた実験により証明した。さらにTgatはC-末端領域を介して、がん抑制遺伝子であるRECKと結合することも明らかになり、RECKの機能を抑制することにより高い浸潤能を有することが示唆された。 一方、ATL腫瘍細胞は恒常的にNF-κBが活性化されていることも知られており、白血病化の重要なメカニズムと考えられている。ATL腫瘍細胞由来の発現ライブラリーからNF-κBを活性化する分子の分離を試みたところ、驚くべきことにTgatが同定された。 すなわち、新たに分離されたがん遺伝子Tgatは複数の機能を獲得することにより白血病化の一翼を担っていることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 森内 良三: "ATL細胞に発現する新規がん関連遺伝子Tgatの機能"血液フロンティア(特集:ATL〜最近の進歩〜). 14・1. 21-29 (2004)
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[Publications] Tawara M.et al.: "Aberrant processing of Fas transcripts in adult T-cell leukemia : a possible role in tumor cell survival"Cancer Letter. 193・2. 235-242 (2003)
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[Publications] Fujita F.et al.: "Inactivation of porcine endogenous retrovirus by human serum as a function of complement activated through the classical pathway"Hepatology Researh. 26・2. 106-113 (2003)
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[Publications] 森内 良三: "ATL細胞特異的ながん関連遺伝子"レトロウイルス研究の最前線. 151-160 (2002)