2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルペスウイルスの増殖にかかわる宿主細胞情報伝達系の修飾
Project/Area Number |
14570269
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
横田 伸一 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10325863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡林 環樹 札幌医科大学, 医学部, 助手
横沢 紀子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50167722)
藤井 暢弘 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90133719)
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Keywords | 生体防御 / ヘルペスウイルス / 細胞内情報伝達 / JAK / STAT経路 / インターフェロン / IRF / virion host shutoff / 蛋白質リン酸化 |
Research Abstract |
ヘルペスウイルスI型(HSV-1)感染によるインターフェロン(IFN)細胞内情報伝達系抑制に関して、以下の知見を得た。 1.HSV-1のimmediate early遺伝子であるICP0とICP4をFL細胞にアデノウイルスベクターを用いて高発現させた。発現細胞にIFNを処理したが、IFNの細胞内情報伝達(転写因子STAT1のリン酸化を指標)は、全く影響を受けなかった。少なくともICP0,ICP4蛋白単独ではIFN細胞内情報伝達経路には影響を与えないことが判明した。 2.RNA分解酵素であるテグメント蛋白UL41は、viron host shutoffを起こすウイルス蛋白として同定されている。UL41欠損ウイルスの感染では、親ウイルス感染で認められるIFN刺激によるSTAT1のリン酸化抑制が部分的に解除されていた。 3.親ウイルス株もUL41欠損ウイルスも感染後、すみやかにIRF-3の活性化(リン酸化)が起こり、IFN-βのmRNAも一過的には誘導される。しかし、親ウイルス感染では、UL41欠損ウイルス感染に比較して、IRF-3と誘導されたIFN-βのmRNAがすみやかに減少し、IRF-7蛋白の誘導が著明に抑制されていた。 4.以上の結果から、HSV-1によるIFN細胞内情報伝達の阻害はIRF-3依存的なIFN-βの発現誘導が持続しないために、その後のIRF-7やIRF依存的な遺伝子の発現誘導が起こらないことによるものと推定した。IFN-βの発現誘導の抑制にはUL41によるmRNAの破壊の関与が考えられる。
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Research Products
(1 results)