2002 Fiscal Year Annual Research Report
パラインフルエンザウイルスのシアロ糖鎖受容体結合領域の構造解明と感染制御
Project/Area Number |
14570270
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
鈴木 隆 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (20240947)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 潔 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (40168125)
|
Keywords | ヒトパラインフルエンザウイルス / HNタンパク質 / シアル酸誘導体 / シアリダーゼ活性 |
Research Abstract |
ヒトパラインフルエンザウイルス1型(hPIV-1)および3型(hPIV-3)に高い結合性を示すシアロ糖タンパク質を選択するために、糖鎖構造が判明している6種類のシアロ糖タンパク質とセンダイウイルス(SV)、hPIV-1、hPIV-3の反応性を固相結合法により比較した。その結果、SVはFetuinやα2-Macroglobulinにも結合性を示したが、hPIV-1とhPIV-3は、これら糖タンパク質にほとんど結合性を示さず、ウシ赤血球膜シアロ糖タンパク質(GP-2)にのみ高い結合性を示すことが判明した。そこでシアリダーゼとシアル酸転移酵素を用いて糖鎖末端のシアル酸結合様式の異なる再シアリル化GP-2を作製し、シアロ糖鎖認識特異性をこれらウイルス間で比較解析した結果、ガングリオシドと同様に、シアロ糖タンパク質糖鎖末端のシアル酸結合様式に対する結合特異性がhPIV-1とhPIV-3間で異なることが確認できた。HN糖タンパク質のシアロ糖鎖結合領域の詳細な構造を解明するために、現在GP-2存在下でも効率よく増殖できる変異ウイルス株の分離を行っている。 一方、我々はHN糖タンパク質を標的としたヒトパラインフルエンザウイルスの感染阻害剤を開発することを目的に、これまでにhPIV-1のシアリダーゼ活性を従来のシアル酸誘導体に比べ数十倍強力に阻害する新規シアル酸誘導体を報告している。この新規シアル酸誘導体のウイルス感染阻害機構を明らかにするため、HN糖タンパク質遺伝子を組み込んだプラスミドベクターを構築し、HN糖タンパク質を発現させた真核細胞系を用いて新規シアル酸誘導体の阻害作用を調べた結果、新規シアル酸誘導体は、HN糖タンパク質のシアリダーゼ活性を阻害することで増殖したウイルスの放出を抑制するだけでなく、hPIV-1の受容体への結合も阻害することが判明した。現在、さらに有効なシアル酸誘導体の合成を進めている。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 鈴木 隆: "パラインフルエンザウイルスの選択的感染阻害薬の開発研究"医学のあゆみ. 201・4. 259 (2002)
-
[Publications] 鈴木 隆: "パラインフルエンザウイルス感染を阻害する新規シアル酸誘導体の開発"バイオサイエンスとインダストリー. 60・7. 22-25 (2002)
-
[Publications] Kazuhide Totani: "Chemoenzymatic synthesis and application of glycopolyamers containing multivalent sialyloligosaccharides with a poly(L-glutamic acid) backbone for inhibition of infection by influenza viruses"Glycobiol.. (in press).
-
[Publications] Rika Komagome: "Oligosaccharides as receptors for JC virus"J. Virol.. 76. 12992-13000 (2002)
-
[Publications] Chaq-Tan Guo: "An O-glycoside of sialic acid derivative that inhibits both hemagglutinin and sialidase activities of influenza viruses"Glycobiol.. 12. 18-190 (2002)