2002 Fiscal Year Annual Research Report
スーパー抗原刺激が誘導する免疫応答シフトとメモリー細胞分化制御の解析
Project/Area Number |
14570284
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
亀谷 美恵 東海大学, 医学部, 助手 (50338787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣生 園子 東海大学, 医学部, 教授 (30051618)
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Keywords | TCRトランスジェニックマウス / TSST-1 / サイトカイン / メモリー細胞 / 抗体産生 / アナジー |
Research Abstract |
本年度は、まず、新たにOVA特異的TCR-TgであるOVA23-3-TgとTSST-1という組み合わせにより、sAg刺激のモデルマウスシステムを作製した。このシステムは、TSST-1が認識するVb遺伝子が3種類しかないため、内在性Vb遺伝子による反応が非常に低レベルに押さえられる事、さらにコントロールマウスとして用いるLDマウスではこれらを認識するVbが全て完全に欠損しているという事において、Do11.10を用いたシステムよりもすぐれている。このシステムを用いて以下の結果を得た。 (1)OVA23-3-TgにTSST-1を投与すると、OVA投与と比較して非常に高いIL-2/IL-6産生を投与後3時間で視察したが、これらは12時間後にはほぼ非投与レベルまで低下した。TSST-1特異的抗体としては、血清中にTSST-1特異的IgMは検出されたが、特異的IgGは検出されなかった。また、central memory markerであるCXCR-5の発現は、投与後五日で比較したところ、TSST-1投与ではOVA投与と比較してほとんど増加しなかった。 (2)in vitroでこのマウスの脾細胞を刺激すると、TSST-1ではOVAと比較して低いレベルで細胞増殖が起こり、IL-2, IL-4, IL-6, IL-10, IFN-gなどのサイトカイン産生も亢進した。これらのサイトカイン産生の上昇は、LDマウスを用いた場合は検出されず、Vb特異的である事が示された。 (3)OVA23-3-TCRを発現するHH4-13ハイブリドーマおよびI-Adを発現するA20 cell lineを用いて、両者の初期リン酸化シグナルを比較したところ、両者の間に質的な差は検出されず、量的にはTSST-1刺激の方が高くなる傾向が検出された。 (4)これらのマウスにOVAおよびTSST-1を投与し、2週間後にin vitroで再刺激を行った。その結果、IL-2およびL-4産生はTSST-1刺激により完全に抑制され、アナジー状態である事が確認された。 以上の結果、TSST-1投与群では、時的なサイトカインの大量産生が誘導される方で、メモリーT細胞およびメモリーB細胞の分化は誘導されない事が示された。通常抗原は10000倍以上の量で刺激しないとTSST-1により誘導される量のサイトカインが産生されない。今後、このサイトカイン量の増大がメモリー細胞の分化誘導を負に制御する可能性に付いて検討する予定である。
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