2002 Fiscal Year Annual Research Report
MHC/ペプチド複合体の安定性とT細胞活性化能-免疫シナプス形成の物理的基盤
Project/Area Number |
14570286
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小園 晴生 東京理科大学, 生命科学研究所, 助教授 (80287482)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 隆親 東京理科大学, 生命科学研究所, 教授 (00028234)
織田 昌幸 東京理科大学, 生命科学研究所, 助手 (20318231)
|
Keywords | TCR / MHC / ペプチド / 安定性 / アフィニティ / ゆらぎ / アゴニスト / アンタゴニスト |
Research Abstract |
MHC分子は、種々のペプチドを獲得し、T細胞に抗原提示を行う。それらのMHC/ペプチドの安定性も様々であることが想定される。また、近年、数種のTCRのアフィニティが測定された結果、必ずしもアフィニティ、及び、オフレートとT細胞の活性化が一致していないことが明らかとなった。また、T細胞の活性化においてイミュノロジカル・シナプスの存在が証明され、その形成が必須であるという考えが支配的である。これらのことより、リガンドの安定性がイミュノロジカル・シナプスの形成に関係するのではないかと仮定し、リガンドの安定性を観察し、それが如何に最終的T細胞の活性化に関係するか明らかにしようと試みた。 系として、2C TCRとH-2Kbを用いた。アゴニストと知られるSIYRペプチドのTCR側のアミノ酸は変えずにアンカーとなるペプチドを系統的に変えることにより、いくつかの安定性のレベルが異なる、しかもTCRに対するアフィニティがあまり変わらないペプチドリガンドのデザインを行った。実際、BIAcoreによる測定を行うと、ペプチドとMHC間でアフィニティが異なるものができた。また、それらのMHC/ペプチド複合体のTCRに対するアフィニティには、ほとんど変化は見られなかった。また、それらのMHC/ペプチド複合体の熱安定性をCDの変化により測定すると、ペプチドとのアフィニティに相関して見かけ上の安定性が変わることがわかった。さらに、これらの、リガンドの生物活性を、T細胞クローンの増殖測定により、検証した。すると、ペプチド-MHC間のアフィニティに相関せず、あるポイントから、T細胞増殖能が激減することがわかった。このことは、MHC/ペプチド複合体の分子的安定性が、TCR/ペプチド/MHC複合体の安定性に影響を及ぼすためだと考えられた。この仮説は、実際APC-T細胞間でのシナプス形成の効率を観測することにより検証可能になると考える。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Tobita T, Oda M, Morii H, Kuroda M, Yoshino A, Azuma T, Kozono H: "A role for the P1 anchor residue in the thermal stability of MHC class II molecule I-A(b)"Immunology Letter. 85. 47-52 (2003)
-
[Publications] Saito K, Sarai A, Oda M, Azuma T, Kozono H: "Thermodynamic analysis of the increased stability of MHC class II molecule I-Ek complexed with an antigenic peptide at an acidic pH"Journal of Biological Chemistry. (In press). (2003)
-
[Publications] Oda M, Kozono H, Morii H, Azuma T: "Evidence of allosteric conformational changes in the antibody constant region upon antigen binding"International Immunology. (In press). (2003)