2002 Fiscal Year Annual Research Report
薬物代謝酵素の遺伝子多型と喫煙の交互作用に関する肺腺癌の分子疫学的研究
Project/Area Number |
14570300
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清原 千香子 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (00169963)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 洋一 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (20172356)
|
Keywords | 肺腺がん / 薬物代謝酵素 / CYP2A6遺伝子多型 / 喫煙 / 分子疫学 / 交互作用 |
Research Abstract |
腺癌にはたばこ特有なニトロソアミンが関与して可能性が示されている。本研究の目的は、腺癌と喫煙との関連性を検討するために、腺癌とたばこ特有なニトロソアミンの代謝に関与しているcytochrome P4502A6(CYP2A6)の遺伝子多型との関連およびCYP2A6遺伝子多型と喫煙との交互作用について検討することである。 本研究への協力について文書での同意を得た新規発生肺がん患者93名のリンパ球DNAを得た。そのうち肺腺がん患者47(男性:女性=28:19)名のCYP2A6遺伝子多型を解析した。これまでCYP2A6遺伝子には、その表現型であるcoumarin 7-hydroxylase活性の低下をもたらすいくつかの変異アレルがある。これらのアレルの保有は野生型アレルの保有に比べてたばこ特有ニトロソアミンの代謝的活性能が低いので、肺腺癌の発生リスクは低いと考えられる。本研究においてはwild-type(CYP2A6^*1A、CYP2A6^*1B)、deletion-type(CYP2A6^*4C)についての判定を行った。判定にはPCR-RFLP法を用いた。平均年齢は68.1(範囲36-80)歳であった。喫煙率は男性57.1%(16/28)、女性10.5%(2/19)であった。喫煙者のブリンクマン指数(1日当たりの平均喫煙本数×喫煙年数)の中央値は男性800(範囲200-2000)、女性400(150-2000)であった。deletion-typeは1名(1/47=2%)しかいなかったので、CYP2A6遺伝子多型と喫煙の交互作用は検討できなかった。これまでの研究では日本人肺がん患者ではdeletion-typeは1.5%程度存在することが報告されている。来年度中には肺がん症例を増やして喫煙と遺伝子との交互作用を検討したい。
|