2004 Fiscal Year Annual Research Report
本邦におけるペニシリン耐性腸球菌の浸淫状況に関する分子疫学的研究
Project/Area Number |
14570302
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80186759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 和暢 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20264517)
石埜 正穂 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30232325)
三瀬 敬治 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30200025)
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Keywords | 腸球菌 / 薬剤耐性 / ペニシリン耐性 / テトラサイクリン耐性 / アミノグリコシド耐性 |
Research Abstract |
1997-1998年、2000-2001年、2002-2004年の3期間に約600株の腸球菌臨床分離株を採取し保存した。本研究ではこれらの研究対象について、主な薬剤耐性および薬剤耐性遺伝子の分布状況、それら耐性遺伝子の配列と多様性を解析した。ペニシリン耐性株はE.faeciumでは95%以上がペニシリン耐性であった。アミノグリコシド耐性については、その主たる原因である多種のアミノグリコシド修飾酵素遺伝子の分布を調査した。ゲンタマイシン高度耐性の原因であるaac(6')-aph(2'')遺伝子はE.faecalisで約40%の株に陽性であったが他の菌種での検出率はきわめて低かった。E.faecalis、E.faeciumではその他ant(6)-Ia、aph(3')-IIIaも高頻度に見つかった。E.faecium 3株に、aph(2'')-Idに類似したゲンタマイシン高度耐性遺伝子を検出し、aph(2'')-Ieと名付けた。aph(2''-Ieとaph(2'')-IDの配列の一致率は塩基レベルで96.3%、アミノ酸レベルで93.7%であった。テトラサイクリン耐性の原因遺伝子は、E.faecalis、E.faeciumいずれにおいてもtet(M)が最も広く分布しており(70-75%)、次いでtet(L)が多かった。また従来Streptococcus pyogenesでのみ知られていたtet(T)がE.faecalis 5株に検出された。またtet(S)、tet(O)もE.faecalisに検出された。本研究の対象となった腸球菌にバンコマイシン耐性菌はなかったが、ペニシリンやアミノグリコシドなど、他の薬剤への耐性は着実に蔓延が進んでいると考えられ、今後もさらなる注意が必要と考えられる。
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Research Products
(3 results)