2003 Fiscal Year Annual Research Report
トリブチルスズの細胞毒性発現におけるMAPキナーゼシグナル伝達系の関与
Project/Area Number |
14570315
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
松岡 雅人 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50209516)
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Keywords | トリブチルスズ / MAPキナーゼ / シグナル伝達 / p53リン酸化 / JNKキナーゼ欠損 / LL-Z1640-2 / カドミウム / 無機水銀 |
Research Abstract |
1.トリブチルスズ暴露により、CCRF-CEM細胞に加えて、PC12細胞およびMCF-7細胞においても、MAPキナーゼ(extracellular signal-regulated protein kinase、c-Jun N-terminal kinase [JNK]、P38)の活性化が認められた。 2.トリブチルスズの他、マンガン、亜鉛、無機水銀および鉛の暴露ではMCF-7細胞におけるp53蛋白セリン15部位のリン酸化は認められなかった。一方、DNA傷害性のカドミウムやアスベスト暴露は、MCF-7細胞やA549細胞において、p53蛋白セリン15部位をリン酸化した。 3.カドミウムおよび無機水銀を暴露したSEK1およびMKK7のJNKキナーゼ欠損細胞では、JNKのリン酸化およびその活性化が著明に抑制された。 4.NIH3T3細胞では、カドミウム暴露後、各MAPキナーゼのリン酸化および活性化が認められたが、環状ノナケタイド化合物であるLL-Z1640-2はMAPキナーゼのうちJNKの活性化をより強力に抑制した。cDNAアレイではカドミウム暴露後、HMOXl、Hsp105、hsp68、grp78、hsc73、Mt2、Cox-2の発現亢進を認め、LL-Z1640-2によりhsp68とgrp78遺伝子発現が著明に抑制された。少なくともカドミウムによるJNK活性化はHSP70ファミリーの発現に関与している可能性がある。トリブチルスズによるJNK活性化に対するLL-Z1640-2の影響について検討を要する。 5.トリブチルスズによるMAPキナーゼ活性化の中毒学的意義を解明するうえで、p53蛋白セリン15部位のリン酸化、JNKキナーゼ欠損細胞やLL-Z1640-2を用いたJNK経路阻害の細胞毒性や遺伝子発現変化に対する影響をカドミウムや無機水銀等の他の重金属と比較することが有用となった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松岡 雅人: "カドミウムによる細胞機能障害-MAPキナーゼシグナル伝達系への影響-"臨床化学. 31・3. 131-138 (2002)
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[Publications] Masato Matsuoka: "Phosphorylation of p53 protein in A549 human pulmonary epithelial cells exposed to asbestos fibers"Environmental Health Perspectives. 111・4. 509-512 (2003)
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[Publications] Masato Matsuoka: "Effects of heavy metals on mitogen-activated protein kinase pathways"Journal of UOEH. 25・Supp1 1. 209-216 (2003)
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[Publications] Nobusuke Sugisawa: "Suppression of cadmium-induced JNK/p38 activation and HSP7O family gene expression by LL-Z1640-2 in NIH3T3 cells"Toxicology and Applied Pharmacology. (発表予定).