2002 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウトマウスを用いたダイオキシン類の甲状腺ホルモン抑制機構の解明
Project/Area Number |
14570316
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
米元 純三 国立環境研究所, 環境ホルモン・ダイオキシン研究プロジェクト, 総合研究官 (30072664)
|
Keywords | ノックアウトマウス / ダイオキシン / PCB / 甲状腺ホルモン(T4) / Ahレセプター / トランスサイレチン(TTR) |
Research Abstract |
Ahレセプターヘテロマウス(AhR+/-)同士を交配し、妊娠12.5日にTCDD 10ug/kgを一回経口投与した。対照には、コーン油を投与した。生後21日に解剖し、血清中トータルT4(TT4)、肝におけるCYP1A1、UGT1A6 mRNAの発現、CYP1A1の免疫組織化学的解析を行った。AhRノックアウトマウス(AhR-/-)では、TCDDによる血清中TT4の低下は認められなかったが、(AhR+/-)マウスでは、対照に比べ有意なTT4の低下が認められた。また、(AhR+/-)マウスでは、肝におけるCYP1A1、UGT1A6の誘導が認められたが、(AhR-/-)マウスでは認められなかつた。以上のことから、TCDDによるTT4の低下にはAhRを介したUGT1A6の誘導による胆汁へのT4の排泄促進がその主要なメカニズムと考えられた。 13週令の雌TTR(トランスサイレチン)野生型マウス(TTR+/+)とTTR欠損マウス(TTR-/-)にTCDD 20ug/kgまたはPCB77 50mg/kgを一回経口投与した。7日後に解剖し、AhRノックアウトマウスと同様の検討を行った。(TTR-/-)マウスでは、血清TT4レベルは野生型の約50%に低下していた。血清TT4レベルは、野生型では、TCDD、PCB77投与により対照に比べ有意に低下した。PCB77による低下はTCDDよりも大きかった。これと対照的に(TTR-/-)マウスでは、血清TT4はTCDD投与によって対照の10%程度まで減少したのに対し、PCB77投与では対照の約70%にとどまった。一方、CYP1A1、UGT1A6 mRNAの誘導は、TCDDでは見られたがPCB77では見られなかった。以上のことから、PCB77投与によるTT4の低下は、AhRを介したUGT1A6の誘導を伴ったものでなく、TTRの関与が示唆された。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] N.Nishinuira, J.Yoneinoto, Y.Miyabaira, M.Sato, C.Tohyama: "Rat thyroid hyperplasia induced by festational and lactational exposure to 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin"Endocrinology. 144(in press). (2003)