2003 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウトマウスを用いたダイオキシン類の甲状腺ホルモン抑制機構の解明
Project/Area Number |
14570316
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
米元 純三 独立行政法人国立環境研究所, 環境ホルモン・ダイオキシン研究プロジェクト, 総合研究官 (30072664)
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Keywords | ノックアウトマウス / ダイオキシン / PCB / 甲状腺ホルモン(T4) / Ahレセプター / トランスサイレチン(TTR) |
Research Abstract |
2,3,7,8-TCDD(TcDD)はAhレセプター(AhR)を介して肝のUDP-glucronosyltransferase(UGT1)を誘導し、グルクロン酸抱合によりサイロキシン(T4)の排泄促進によりT4の低下を引き起こすこと、一方、PCB77(3,3',4,4'-tetraCB)は、その水酸化代謝物がT4輸送タンパクであるTTR(トランスサイレチン)との競争的結合によりT4低下に関与していることをAhRノックアウトマウス、TTRノックアウトマウスを用いて明らかにしてきた。今年度は、TTRノックアウトマウスを用いてPCB126<3,3',4,4',5-pentaCB)、PCB153(2,2',4,4',5,5'-hexaCB)のT4低下作用のメカニズムを検討した。13週齢のTTR(+/+)マウスとTTR(-/-)マウスにPCB126 1.0mg/kg、PCB153 200mg/kgを経口投与し、7日後に血清と肝臓を採取した。血清中トータルT4(TT4)は、TTR(+/+)、TTR(-/-)マウスのいずれにおいても対照に比べ減少した。PCB126投与では肝臓のCYP1A1、CYP1A2、UGT1A6 mRNAの誘導が見られたが、PCB153投与群ではこれらAhR応答遺伝子の誘導が見られなかった。PCB126による血清T4の低下はAhRを介した作用であり、PCB153よる血清T4の低下はAhR、TTR以外の、メカニズムの関与が示唆された。
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[Publications] N.Nishimura, J.Yonemoto, Y.Miyabara, M.Sato, C.Tohyama: "Rat thyroid hyperplasia induced by gestational and lactatoinal exposure to 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin"Endocrinology. 144. 2075-2083 (2003)