2002 Fiscal Year Annual Research Report
地域の自立高齢者における脳循環代謝機能と日常生活活動能力、抑うつ症状との関連
Project/Area Number |
14570364
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
渡邉 丈眞 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (50182928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 美鈴 大阪医科大学, 医学部, 講師 (30084924)
河野 公一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (30111016)
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Keywords | 自立高齢者 / 脳循環代謝機能 / 日常生活活動能力 / 抑うつ症状 |
Research Abstract |
本研究は,自立生活を営む高齢者を対象とし,脳血管障害の前臨床状態を起立時脳循環代謝機能の面から測定評価する.その機能低下と日常生活活動能力(手段的自立,知的能動性,社会的役割)及び抑うつ症状との関連を横断的かつ短期縦断的に検討することを目的とした.平成14年度は横断的解析の一部を試みた. 対象・方法:(1)平成14年度の対象者は,当該調査地域の自治体が主催する高齢期健康づくり教室参加者の中から調査承諾の得られた者約150人であった.基本的日常生活活動動作(移動,食事,排泄,整容,入浴)の障害のある者は解析からあらかじめ除外した.毎月の教室開催時に順次起立負荷時の脳循環代謝機能の測定と日常生活活動能力(老研式活動能力指標),抑うつ症状(Geriatric depression scale日本語訳),自覚症状および健康状態に関する聞き取り調査を実施した.(3)脳循環代謝機能の測定には近赤外線分光法(NIRO300,浜松ホトニクス製)を用い,左右前頭部の酸素化ヘモグロビン変化率,脱酸素化ヘモグロビン変化率,組織酸素化指標(TOI),組織ヘモグロビン指漂(THI)を評価指標として利用した.負荷はいわゆるシェロング試験(能動的起立負荷)を実施し,15分以上の安静から負荷後5分までの連続記録を行った.血圧測定は負荷前仰臥位安静時と負荷5分後立位時に測定した.(4)解析には,SPSS for Winds 11.0を利用し,日常生活活動能力と脳循環代謝機能評価指標との関連の基礎的解析を試み以下の結果を得た. 結果:(1)起立時循環代謝指標と年齢・性との間に有意な関連は観察されなかった.(2)日常活動能力指標の低得点者は起立時のTOI変化が有意に少なかった.(3)日常活動能力の低下に相関する抑うつ得点で補正した後でも、日常生活活動能力の低下とTOIの起立変化が小さいことは有意に関連していた.
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