2002 Fiscal Year Annual Research Report
眼球運動からみたアルツハイマー型痴呆高齢者の生活環境認知と転倒の危険性
Project/Area Number |
14570370
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
中村 貴志 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (70292505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 春男 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (00127763)
焼山 和憲 西南女学院大学, 保健福祉学部, 助教授 (70331022)
稲木 光晴 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (20261787)
堀川 悦夫 東北大学, 医療技術短期大学, 助教授 (10155004)
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Keywords | アルツハイマー型痴呆 / 歩行 / 眼球運動 / 転倒 / グループホーム |
Research Abstract |
本研究の目的は、グループホームに入居しているアルツハイマー型痴呆高齢者を対象として、日常生活における眼球運動と歩行を無拘束状態で同時に測定し、グループホームの物理的環境や対象者の生活環境に対する認知・運動機能の程度が歩行や転倒・骨折の危険性にどのような影響を及ぼすのか検証することである。本年度は、以下の2点について検討した。 測定方法とデータの妥当性・信頼性:健常高齢者、軽度アルツハイマー型痴呆高齢者及びその介護スタッフを対象に、物理的環境を調整した実験条件と自由な活動条件で眼球運動と歩行を同時に測定し、データの精度と装着方法等について検討した。その結果、短時間の測定時間で実施した実験条件下では、いずれの対象群においても精度の高いデータを測定することが可能であった。一方、長時間の自由な活動条件下での測定では、とくにアルツハイマー型痴呆高齢者の場合、眼球運動検出部分に対する不快感や疲労感を訴えるケースが多かった。この点については装置の小型・軽量化と、測定方法として介護者が随伴した状態での測定も一つの条件として検討している。種々の環境条件における眼球運動や歩行の測定:健常高齢者とアルツハイマー型痴呆高齢者を対象に、過去1年間における転倒あり群と転倒なし群とにわけ、空間照度、床の段差や障害物の高さ及び背景とのコントラストなど物理的環境条件の異なる状況を設定し、眼球運動と歩行状態を同時に測定した。その結果、アルツハイマー型痴呆群では健常高齢者と比較して転倒群では、注視点の移動範囲が小さく、停留時間に変動が大きかった。また、転倒あり群では、物理的環境条件の変化によって、不規則は注視点の移動軌跡と歩行の不安定さが高くなる傾向が認められた。
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