2004 Fiscal Year Annual Research Report
レセプト情報より薬剤有害作用を検出するデータマイニング手法の開発に関する研究
Project/Area Number |
14570373
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
岡本 悦司 国立保健医療科学院, 経営科学部, 経営管理室長 (90247974)
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Keywords | レセプト / データマイニング / 医薬品市販後調査 / カイ二乗検定 / 有害事象 / デカルト積 / 医薬品副作用 / 医療安全 |
Research Abstract |
薬剤の有害事象をレセプト傷病名から検出するためのデータマイニング指標として「因果関係度」を考案した。 1)薬剤と傷病名との総組合せ(直積,デカルト積)を算出する。 2)その薬剤と傷病名との組合せが偶然ではなく,統計的に意味あるものの程度を評価する 3)もし傷病名が薬剤に起因するものであるなら,必ず薬剤投与が傷病名の出現より先行している。 レセプトの全傷病と薬剤がコード化入力されておれば1)はSQL言語により容易に得られる。2)は全ての組合せについてカイ二乗検定を行い得られたp値によって判断できる。3)は,傷病名については診療開始日は記載されているが、調剤日は医科レセプトでは把握できない。日本医療データセンター(JMDC)社が複数の健保組合と契約により,医科レセプトのみならず調剤レセプトの情報を入力し,独自の暗号技術で医科と調剤レセプトを個人単位でリンクしたデータベースを保管していたのでこれを活用した。全組合せについてカイ二乗検定を行ってp値を得,さらに傷病名の診療開始日と調剤レセプトの調剤日を用いて,ある薬剤とある傷病名が同時に出現した数のうち薬剤の調剤日が傷病名の診療闘始日が先行している割合(先行率)を求めた。そして[先行率/p値]を因果関係度と定義した。 精神病薬(薬効分類1179)の15薬剤について,てんかんと麻痺性イレウスの2つの副作用に着目してデータマイニングを行った。これらの副作用が添付文書に記載されているアモキサピンと塩酸トラゾドンは予想通り高い因果関係度を示したが,塩酸パロキセチンとエチゾラムといったこれら副作用の記載の無い薬剤についても高い因果関係度が観察され,これら薬剤についても同様の副作用が発生している可能性が示唆された。 考案された因果関係度は有効なデータマイニング指標になると期待され,最終年度においては電子レセプトを活用して拡大試行してゆく。
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Research Products
(3 results)