2002 Fiscal Year Annual Research Report
新たな腫瘍免疫療法開発のためのリンパ球・樹状細胞間OX40分子移動現象の解析
Project/Area Number |
14570417
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
馬場 英司 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (00315475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 勇悦 琉球大学, 医学部, 教授 (30163588)
片野 光男 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10145203)
森崎 隆 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90291517)
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Keywords | 腫瘍免疫 / リンパ球 / 抗原提示細胞 / OX40 / 細胞間分子移動 / 樹状細胞 / 癌ワクチン療法 |
Research Abstract |
本年度の研究により我々は以下の点を明らかにした。(1)主に活性化T細胞上に発現するTNFRスーパーファミリー蛋白OX40は、このT細胞上から、OX40リガンド(OX40L)を発現する様々な抗原提示細胞上に特異的に移動することを確認した。このOX40分子の細胞間移動の結果、受け手細胞側のOX40Lの反応性は低下し免疫反応の制限が生じたことが示唆された。(2)活性化T細胞を始め様々なOX40発現細胞において、我々の樹立した抗OX40抗体で検出され得るOX40関連蛋白質(p35)が同時に発現していることを確認した。p35分子に付加された糖鎖の解析を行い、通常のOX40(p50)と比較して翻訳後修飾の異なるp35の生化学的性状を明らかにした。そしてp35分子は上記のOX40分子の細胞間移動現象において、OX40p50と異なる移動パターンを示すことが明らかとなった。(3)OX40分子の細胞間移動は、細胞間接着を介するものと、細胞外に放出された後に生じるものの少なくとも2通りの経路があることが明らかとなった。以上の成果を踏まえ本研究計画の遂行のために、現在はOX40分子移動を受けたヒト単球由来樹状細胞の免疫学的機能とシグナル伝達の修飾、共焦点レーザー顕微鏡による移動分子の細胞上動態の解析を集中的に実施している。 加えて我々は、自家腫瘍細胞パルス樹状細胞ワクチン療法を施行されている悪性腫瘍患者末梢血から樹立された、腫瘍抗原特異的リンパ球と患者樹状細胞との相互作用における、OX40分子移動の影響も検討している。これらの結果、患者単球由来の樹状細胞中には細胞寿命、サイトカイン産生、抗原提示能などが低下した特殊な細胞集団が存在することが明らかとなった。今後これらの細胞集団とTリンパ球からのOX40移動の検討を進める予定である。
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Research Products
(1 results)