2002 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴシン1リン酸の肝細胞増殖抑制作用の機序と肝再生における意義の解明
Project/Area Number |
14570451
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 均 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80202422)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳瀬 幹雄 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50334397)
新井 雅裕 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60271566)
富谷 智明 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90227637)
|
Keywords | スフィンゴシン1リン酸 / EDG5 / Rho / 肝再生 |
Research Abstract |
スフィンゴシン1リン酸(sphingosine 1-phosphate : S1P)が、ラット培養肝細胞の増殖を抑制することを明らかにした。この系において、まず受容体であるEDG5のアンタゴニストを用いたところ、その存在下では増殖抑制作用は消失した。従って、S1Pの当該作用にEDG5が関与することが明らかとなった。さらに、G蛋白質Rhoの活性化を抑制するボツリヌス菌体外毒素を作用させるとS1Pの増殖抑制作用は消失した。以上より、S1PがEDG5を介してRhoを活性化することにより、ラット培養肝細胞の増殖を抑制することが明らかとなった。 次に、ラット70%肝切除モデルにおいて、切除後にS1Pを腹腔内投与したところ、切除より24時間目のDNA合成のピークが著しく減少した。同実験系において、腹腔内に投与したS1Pにより肝臓のRhoが活性化することが確認された。また、ラット70%肝切除モデルにおいて、経時的に肝細胞におけるEDG5 mRNAの発現を検討したところ、DNA合成が収束に向かう48-72時間目において発現の亢進が明らかとなった。以上より、S1Pはin vivoにおいても肝細胞の増殖を抑制することが明らかとなった。また、生理的な肝再生の収束機転に関与する可能性が示唆された。 今後、さらにS1Pの肝再生における意義を明らかにすべく、血中濃度の測定、アンタゴニストのin vivoにおける作用の検討が目指す。
|
Research Products
(1 results)