2003 Fiscal Year Annual Research Report
TRAILの機能を中心とした大腸癌における宿主免疫回避機構の解明
Project/Area Number |
14570460
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
白木 克哉 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (90263003)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 一素 三重大学, 医学部, 助手 (40345971)
|
Keywords | TRAIL / アポトーシス / 大腸癌 / 免疫 |
Research Abstract |
TRAILは正常細胞をアポトーシスに誘導することなく、腫瘍選択的にアポトーシスを誘導できるとされている。これまでの研究で我々はヒト大腸癌細胞(HT-29,LS180,SK-CO-1)で4種類のTRAILレセプター全ての発現(TRAIL-R1からTRAIL-R4まで)を確認した。しかし、大腸癌細胞は相対的にTRAIL耐性であることも確認した。また、TRAIL投与によるNF-_κB活性化は大腸癌細胞全体で一定の傾向はなく、細胞により異なることも確認した。 今回我々は大腸癌でのTRAIL発現による宿主活性化リンパ球のアポトーシス誘導と免疫回避機構との関連を検討した。ヒト大腸癌細胞(HT-29,LS180,SK-CO-1)におけるTRAILの発現を、Western blottingとRT-PCR法にて確認した。また、flow cytometryを用いて癌細胞表面のTRAIL発現と、サイトカイン(IFNγ,TNFα)、抗癌剤(camptothecin, doxorubicin hydrochloride)刺激による大腸癌細胞表面のTRAIL発現増強を確認した。 doxorubicin hydrochloride刺激にてTRAILの発現を増強させた大腸癌細胞HT-29と同時培養したJurkat cellはapoptosisに陥り(生存率48%)、発現したTRALは機能的であることが確認された。Jurkat cellの生存率はFasL抗体投与により増加したが(57%)、TRAIL-R1-R4-Fc投与による増加の方がより大きく(86%)、Jurkat cellのapoptosisにはTRAILの関与がより強い事が示唆された。 大腸癌細胞の表面に発現したTRAILは、ヒト活性化リンパ球をアポトーシスに導くことにより、癌の宿主免疫回避機構に関与する可能性が示唆された。
|