2002 Fiscal Year Annual Research Report
TRAILとInterferon-αの併用による肝細胞癌治療の基礎研究
Project/Area Number |
14570482
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
石井 伸子 長崎大学, 保健管理センター, 教授 (20088868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜崎 圭輔 長崎大学, 医学部附属病院, 講師 (50333521)
中尾 一彦 長崎大学, 保健管理センター, 助教授 (00264218)
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Keywords | TRAIL / Interferon-α / 肝細胞癌 / survivin / NF-κB |
Research Abstract |
Tumor necrosis factor-related apoptosis-inducing ligand (TRAIL)はTNFファミリーに属し、さまざまな癌細胞にアポトーシスを誘導することが知られている。さらに、TRAILはTNFやFas-Lと異なり正常細胞に対してアポトーシスを誘導せず、癌細胞特異的にアポトーシスを誘導することから抗癌剤としての臨床応用が期待されている。しかし、すべての癌細胞がTRAILに対して高感受性ではなく、TRAIL誘導アポトーシスに対して抵抗性を示す癌細胞も多く存在する。肝細胞癌もそのひとつと考えられている。一方、Interferon-α(IFN-α)は坑ウイルス、坑腫瘍効果を持つサイトカインとして、すでに広く臨床応用されている。肝疾患においては坑ウイルス活性のみならず、肝発癌の抑制効果を持つとの報告もみられる。近年、細胞障害性T細胞において、IFN-α処理によりTRAILが誘導され、腫瘍細胞障害活性が増強されるとの報告がなされた。我々は、これらの知見からIFN-αがエフェクター細胞だけでなくターゲットである癌細胞に対しても直接作用し、TRAILによる癌細胞アポトーシスを増強するのではないかと考えた。本研究では、IFN-αとTRAILの併用による肝細胞癌に対する坑腫瘍効果を明らかにする目的で実験を行った。 3種類の肝癌細胞(HuH-7,Hep3B,PLC/PRF/5)に対して、IFM-α(1,000IU)48時間前処理後TRAIL(50ng/ml)を添加したところ、単独添加に比して著明なアポトーシスが誘導された。また、IFN-α処理によりTRAILのdeath receptorであるDR5の発現が増強され、抗アポトーシス蛋白であるsurvivinの発現は抑制された。これらの変化がアポトーシス増強の一因と考えられた。さらに、TRAILによって活性化され、survival signalに関わるNF-κBの転写活性やDNA結合能もIFN-α前処理により著明に抑制されることが解った。IFN-αは、肝癌細胞においてTRAILによるdeath signalを促進し、細胞の抗アポトーシス機能を減弱させることでTRAIL誘導アポトーシスを増強することが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)