2003 Fiscal Year Annual Research Report
Osteoactivinの機能解析と肝発癌過程における役割に関する研究
Project/Area Number |
14570484
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井戸 章雄 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30291545)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 剛 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (00281220)
|
Keywords | osteoactivin / コリン欠乏アミノ酸置換食飼育ラット / 肝細胞癌 / 肝発癌 / 肝硬変 / 浸潤 / 転移 |
Research Abstract |
肝細胞癌の多くは肝硬変を背景に発生し、その発癌にはウイルスのみならず長期持続する炎症と再生、線維化といった因子が関与している。コリン欠乏アミノ酸置換食(CDAA)食によるラット肝癌モデルは、肝硬変を背景に発生するヒト肝細胞癌に類似したモデルである。我々は、CDAA食飼育ラット肝における増殖因子発現、細胞増殖およびアポトーシスの経時的変化を検討した。肝細胞増殖因子はCDAA食早期に発現誘導されるのに対して、TGF-αは中期から後期にかけて誘導された。また肝細胞増殖抑制因子であるTGF-βは早期から持続的な発現誘導が認められた。一方、細胞増殖は持続的に亢進していたが、アポトーシス細胞は8週目まで増加するものの以後減少した。これらの結果からCDAA食開始早期(〜8週)に発癌に関わる重要な因子が関与していることが示唆された。そこで、次に、CDAA食開始早期の肝組織で発現亢進している遺伝子群をsuppression subtractive hybridization法を用いて単離し、これらの遺伝子群に含まれていた未だ機能が明らかでないosteoactivin遺伝子の解析を行った。Osteoactivinは、正常肝での発現は痕跡程度であったが、CDAA食開始1週間目から発現増強し中等度の発現が持続していた。種々のヒト肝癌細胞株における発現を検討したところ、検討した6種の肝癌細胞株全てにおいてosteoactivinの発現が認められた。また、ヒト肝癌の摘出組織を用いて癌部・非癌部のosteoactivin発現を検討したところ、66.7%の肝癌組織で非癌部組織よりも高いosteoactivin発現が認められ、特に高分化型肝癌において有意に発現増強していた。一方、osteoactivinの機能解析のためにsense-およびantisense-osteoactivin発現ベクターを肝癌細胞株に導入した。osteoactivin強発現は細胞増殖に影響を与えなかったが浸潤能を亢進させ、ヌードマウスに脾注するとその肝転移を促進した。一方、osteoactivin発現を抑制すると浸潤・転移は阻害された。以上の結果から、osteoactivin遺伝子は慢性肝炎から肝硬変に至る過程で発現し、肝発癌に関わり微小環境で重要な役割を果たしている可能性が推測された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Onaga M, Ido A, Hasuike S, et al.: "Osteoactivin, expressed during cirrhosis development in rats fed a choline-deficient, L-amino acid-defined diet, accelerates motility of hepatoma cells"Journal of Hepatology. 39巻. 779-785 (2003)
-
[Publications] Onaga M, Ido A, Hasuike S, et al.: "Enhanced expression of growth factors and imbalance between hepatocyte proliferation and apoptosis in the livers of rats fed a choline-deficient, L-amino acid-defined diet"Hepatology Research. 28巻. 94-101 (2004)
-
[Publications] Hori T, Ido A, Uto H, et al.: "Activation of hepatocyte growth factor in monkey stomach following gastric mucosal injury"Journal of Gastroenterology. 39巻. 138-139 (2004)