2002 Fiscal Year Annual Research Report
消化管の細胞膜結合EGFリガンド群の放出に働く分子機構
Project/Area Number |
14570489
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
横山 善文 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00145723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東山 繁樹 愛媛大学, 医学部, 教授 (60202272)
城 卓志 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30231369)
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Keywords | IL-8 / IL-1β / EGFR ligand / shelding / ADAM |
Research Abstract |
【背景、目的】EGF受容体リン酸化が、G-蛋白結合性受容体活性化後メタロプロテアーゼによるEGFレセプターリガンドの放出を介して行われることが最近明らかになった。そして、IL-8(G-蛋白結合性受容体アゴニスト)は、癌細胞の増殖を誘導することから、IL-8は、メタロプロテアーゼを介した系にてEGFレセプターリン酸化を起こしていることが推測される。また、IL-1βもEGFレセプターをリン酸化することから、今回我々は、炎症性サイトカインによるEGF受容体リン酸化様式の相違を研究した。【方法】胃癌細胞(KATOIII細胞)を使って、IL-1βとIL-8の刺激にて免疫沈降にてEGFレセプターのリン酸化の経時的変化調べ、さらにKB-R7785(メタロプロテアーゼ阻害剤)を使用し、これによる活性阻害の有無を調べた。次に、ヒト胎盤耐熱性アルカリフォスファターゼで標識したHB-EGF前駆体発現プラスミドベクター、ヒト胎盤耐熱性アルカリフォスファターゼで標識したHB-BGF前駆体発現アデノウィルスベクターを作製した。これらをKATOIII細胞にトランスフェクションし、発現細胞株を作製した。この細胞株を使って、30分間IL-1βとIL-8にて刺激し,アルカリフォスファターゼ活性を測定することによりHB-EGF放出の程度を調べた。また、KB-R7785にて、HB-EGF放出阻害の有無を調べた。【結果】IL-1βの刺激により長時間持続的にEGFレセプターリン酸化したが、IL-8では、一過性にリン酸化した。IL-8による刺激は、KB-R7785にて阻害できたが、IL-1βによる刺激は、4時間以降で阻害できた。HB-EGF発現細胞をIL-1βとIL-8にて刺激し、どちらも容量依存的にHB-EGFを放出したが、KB-R7785は、IL-8刺激によるHB-EGFの放出を抑制したが、IL-1β刺激時には、HB-EGFの放出を阻害しなかった。【結論】IL-1βとIL-8により、どちらもEGFレセプターリガンドを放出させEGFレセプターのリン酸化を起こす。IL-8は、メタロプロテアーゼを介した系にてEGFレセプターリン酸化を起こしているが、IL-1βは、それ以外の系にて行われる。炎症性サイトカインは,EGFRリガンドを放出し,胃粘膜上皮細胞増殖に重要な役割を果たしていると考えられる。
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