2004 Fiscal Year Annual Research Report
クローン病の肉芽腫における疾患特異抗原へのT/NKT細胞活性化の機序と意義
Project/Area Number |
14570496
|
Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
松本 譽之 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10209637)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 志郎 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (50271185)
|
Keywords | クローン病 / T細胞 / MAdCAM-1 / 肉芽腫 / 疾患特異抗原 / ケモカイン |
Research Abstract |
クローン病の病因は不明であるが、その臨床病理学的特徴として肉芽腫の形成があげられる。クローン病の肉芽腫は、何らかの疾患特異抗原に対する抗原提示ならびに免疫応答の場である可能性をこれまでの研究により明らかにしてきた。また、クローン病ではTh1系の免疫応答が重要であるが、そのような免疫応答を惹起する細胞の集簇機序などについて、ケモカインの関与が考えられているが、不明な点も多い。一方、腸管などの粘膜においては、IgAに代表される粘膜免疫系とIgGに代表される全身免疫系のバランスが重要である。前者の調節には、MAdCAM-1やインテグリンを代表とするホーミングレセプターの関与が大きい。このような背景の元、以下のような結果を得た。 1)クローン病では、肉芽腫や腸間膜リンパ節などを中心として粘膜免疫系の免疫担当細胞のホーミングレセプターであるMAdCAM-1を発現する血管内皮細胞の増加が多かった。 2)そのような部位には、CD4+CD45RO+のメモリー型T細胞の増加が見られ、一定の抗原への免疫応答の可能性が強かった。 3)リンパ球やマクロファージの集簇部周囲では、Th1系の免疫応答の増強が見られた。 4)同部に一致してELCやSLCなどのリンパ球へのケモカイン発現亢進が確認された。 5)クローン病の治療において、上記と関連するマクロファージ系細胞を中心とした血球成分除去療法が有効であった。 以上より、クローン病の局所免疫応答は、何らかの疾患特異抗原とそれに対する粘膜免疫系リンパ球のTh1を中心とした活性化が特徴であり、その背景にはケモカインが関与していることが明かとなった。また、このような免疫担当細胞(特にマクロファージや抗原提示細胞)をターゲットとした治療が有効である可能性が示された。
|
Research Products
(2 results)