2003 Fiscal Year Annual Research Report
消化管上皮細胞の分化と癌化に伴う分化関連抗原の発現に関する免疫組織学的研究
Project/Area Number |
14570499
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
岡田 良雄 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (30213953)
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Keywords | ラット / 消化管 / 上皮細胞 / 発生分化 / 癌 / モノクローナル抗体 / アポムチン / ホメオティック遺伝子 |
Research Abstract |
1.ラット消化管上皮細胞の分化マーカーであるSucrase-Isomaltase (SI、小腸吸収細胞)、MUC2 (杯細胞)、MUC5AC (胃粘膜表層上皮細胞)に対するモノクローナル抗体、および消化管に特異的なホメオティック遺伝子産物であるCdx2に対するモノクローナル抗体を合成ペプチドを抗原に用いて樹立した。他にMUC1に対する抗体を作成した。免疫組織染色に使用可能な抗ITF抗体、抗Cdx1抗体は樹立できなかった。 2.ラット胎生期小腸発生過程におけるMUC2、SIおよびCdx2の発現パターンを免疫組織学的に比較検討した。胎生期小腸上皮では胎生16日齢以降にMUC2、Cdx2 (細胞核内発現)、SIの発現が順次観察された。MUC2は16日齢の原始絨毛形成初期に発現が始まり、その後の絨毛の成長に伴なって発生分化する杯細胞内に蓄積が見られた。Cdx2は胎生17日齢の内胚葉上皮に不連続な、細胞核に限局する発現として観察され、陰性部位から原始絨毛が発生した。18日齢には総ての上皮細胞がCdx2陽性となった。SIはCdx2、MUC2に遅れて発現したが胎生期から明らかな発現が見られた。Cdx2の発現はSI発現の前提となる可能性が示唆された。 3.Axoxymethane (AOM)投与ラット消化器腫瘍におけるアポムチン、糖鎖抗原、Cdx2の発現を検討した。AOM誘導腫瘍組織ではアポムチン、糖鎖抗原など分化細胞特異抗原の広範な発現低下が見られた。正常では発現の見られないアポムチン、糖鎖抗原のNeoexpressionが遠位大腸腫瘍およびその周辺正常組織で観察された。腺癌の発現変化は腺腫に伴う変化と質的な差違はなく、必ずしも癌特異的変化ではなかった。Cdx2の著明な発現低下がAOM腺腫の段階から認められ、腸管上皮細胞の正常分化維持にCdx2の発現が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kaneko Y, Yanagihara K, Hirata Y, Mukae H, Tomono K, Okada Y, Kadota J, Kohno S: "Overproduction of MUC5AC core protein in patients with diffuse panbronchiolitis"Respiration. 70. 475-478 (2003)
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[Publications] Nollet S.Escande F, Buisine MP, Forgue LME, Kirkham P, Okada Y, Bara J: "Mapping of SOMU1 and M1 epitopes on the apomucin encoded by the 5' end of the MUC5AC gene"Hybridoma and Hybridomics. (印刷中). (2004)
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[Publications] Shaoul R, Marcon P.Okada Y, Cutz E, Marcon MA: "Colonic expression of MUC2,MUC5AC and TFF1 in inflammatory bowel disease in children"J Pediat Gastroenterol Nutr. (印刷中). (2004)