2004 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍治癒過程におけるアミノ酸トランスポーターと遺伝子発現に関する検討
Project/Area Number |
14570517
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
加藤 公敏 日本大学, 医学部, 講師 (90204461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 則道 日本大学, 医学部, 教授 (80096875)
石井 敬基 日本大学, 医学部, 講師 (20246870)
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Keywords | アミノ酸トランスポーター / LAT1 / COX / カルチノイド / 大腸癌 / 食道癌 |
Research Abstract |
ラット酢酸潰瘍治癒過程における消化性潰瘍の治癒過程での、アミノ酸輸送系トランスポーターおよびシクロオキシゲナーゼ(COX1、COX2)との相互関係について検討した。ラット酢酸潰瘍治癒過程において、COX2の免疫組織化学的発現は、潰瘍底の肉芽組織の部位や潰瘍辺縁の上皮などにCOX2の発現が増加していた。COX阻害剤であるindomethacin(2mg/kg)を潰瘍形成後1週間投与すると、潰瘍治癒過程の抑制がみられたが、中性アミノ酸トランスポーターLAT1の発現は、対照群に比較して、より増加する傾向が認められた。すでにSystem Lの選択的阻害剤であるBCHによるアミノ酸輸送系の阻害が潰瘍治癒を遅延させること確認し、その際、LAT1の発現は抑制されているので、LAT1は、Prostglandin系に依存せず、あるいは代償的に発現が増加する可能性も示唆された。人消化管原発カルチノイド(胃、小腸、結腸、直腸)およびそれらの転移巣(肝、リンパ節など)において、COX-1、COX-2の免疫組織化学的な発現を検討した。COX-2は、消化管カルチノイドおよびその転移巣において発現がみられた。COX-2は腫瘍細胞の細胞質にdiffuseに染色され、間質浸潤部の腫瘍細胞にも発現がみられる傾向にあった。一方、COX-1は一部のカルチノイドにおいて軽度の発現を認めるのみであった。また、アミノ酸トランスポーターLAT1の発現も、腫瘍部において中等度以上の発現がみとめられた。また、人大腸癌症例やラット大腸癌肝転移モデルで免疫組織化学やTaqMan RT-PCRによりLAT1の発現も確認しており、LAT1は大腸腫瘍の進展に関与し、進行大腸癌の有用な予後因子になりうる可能性が示唆された。一方人カルチノイドにおいても、COX-2やLAT1が腫瘍の発育や増殖に対し重要な役割を果たしている可能性が示唆された。また食道の扁平上皮癌部で、非癌部に比べて、LAT1の発現が有意に高く、癌の浸潤が深くなるほど、腫瘍が大きくなるほどLAT1の発現が強く、食道癌の増殖、分化、浸潤にもLAT1が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)