2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570532
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
別役 智子 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (60333605)
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Keywords | 喫煙 / マトリックスメタロプロテアーゼ / マクロファージ / ELISA / 肺気腫 / 気管支肺胞洗浄 |
Research Abstract |
Bisigin、別名extracellular matrix metalloproteinase inducer(EMMPRIN)は27kDaの糖蛋白で、近年、癌細胞で高発現し、周囲の間葉系細胞にマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-1,-2,-3などを誘導し浸潤、転移に関与していることが報告されている。本研究は、慢性喫煙による肺障害とbasigin/EMMPRINの関係を明らかにすることを目的とする。昨年度、ヒトbasiginの定量を可能にする高感度ELISA systemを作成した。R&D Systems社製rabbit polyclonal anti-extracellular domain of EMMPRINを用いたサントイッチ法で、standard直線の作成には、recombinant human basiginの細胞外ドメインを用いた。気管支肺胞洗浄(BAL)液をサンプルとした場合、濃縮なしの原液で測定可能であった。ELISA法を開発することにより気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage ; BAL)液中での定量的解析を行い、各種病態におけるbasigin/EMMPRINの存在とMMPsとの関係について検討することが可能になった。喫煙と加齢は、肺気腫をはじめとする多くの疾患のリスクファクターである。本研究では、中高年喫煙者ボランテイアを対象に、肺高分解能CTで検出された早期あるいは軽度の肺気腫患者と、同程度に喫煙歴がありながら肺気腫病変がない同年齢対象者、および喫煙歴がない対象者、全81名のBAL液を用いた。BAL液中のbasigin/EMMPRIN濃度は、現在喫煙中の者では肺気腫病変の有無に関わらず、非喫煙者、および禁煙者に比べ高値を示した。免疫組織染色法により、basigin/EMMPRINの局在を健常非喫煙者肺、健常喫煙者肺、肺気腫肺を対象検体として検討した。健常非喫煙者肺では、少数の肺胞マクロファージに陽性に染色されるが、肺の構成細胞にはbasigin/EMMPRINの発現はほとんど認められない。一方、喫煙者肺、肺気腫病変においては、集積した肺胞マクロファージ、細気管支上皮、気管支腺に、強陽性に染色された。これらの結果は、喫煙をリスクファクターとする肺の炎症性疾患において、直接あるいはMMPsの誘導を介して関与している可能性を示唆する。
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[Publications] Betsuyaku T: "Increased basigin in bleomycin-induced lung injury"Am J Respir Cell Mol Biol. 28. 600-606 (2003)
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[Publications] Betsuyaku T: "EMMPRIN is increased in smokers' bronchoalveolar lavage fluid"Am J Respir Crit Care Med. 168. 222-227 (2003)
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[Publications] Betsuyaku T: "Laser capture microdissection and mRNA characterization of mouse airway epithelium"Micron. (in press).
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[Publications] Kobayashi M: "Effect of low-dose theophylline on airway inflammation in chronic obstructive pulmonary disease"Respirology. (in press).
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[Publications] Takamura K: "Retinoic acid inhibits interleukin-4-induced eotaxin production in a human bronchial cell line"Am J Physiol : Lung Cell Mol Physiol. (in press).