2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570537
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石井 幸雄 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (80272194)
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Keywords | 肺線維症 / Natural killer T細胞 / interferon-gamma |
Research Abstract |
本年度研究ではNatural Killer T細胞(NKT細胞)活性化がマウスブレオマイシン肺線維症に及ぼす影響について検討した。実験には野生型C57BL/6マウスおよび同系のNKT細胞欠損(Jα281-/-)マウスを用いた。0.5mgのブレオマイシンを気管内投与し肺線維症モデルを作成したNKT細胞活性化の目的で10μgの(α-galactosylceramide(α-GalCer)をブレオマイシン注入1日前に腹腔内投与した。生理食塩水、溶媒を投与したものをそれぞれの対照群とした。野生型ではブレオマイシン注入15日目までに35%のマウスが死亡したが、α-GalCerの投与により有意な生存率の延長が見られた。15日目の肺組織では線維化の程度はα-GalCer投与群で明らかに抑制されており、肺内ヒドロキシプロリン含量もα-GalCer投与群で有意に低下していた。これらの変化はJα281-/-マウスでは認められなかった。ブレオマイシン注入8日目の野生型マウスにおいてα-GalCer投与群では非投与群に比べ肺内interferon-γ(IFN-γ)は有意に高く、transforming growth factor-β,connective tissue growth factorの発現は有意に低下していた。これらの変化はJα281-/-マウスでは認められなかった同時期のリンパ球の解析では肺内のNKT細胞の比率、同細胞のIFN-γ発現率はα-GalCer投与群、非投与群の間に差がなかったが、T細胞のIFN-γ発現率はα-GalCer投与群で有意に高値であった。抗IFN-γ抗体の投与によりα-GalCerの抗線維化作用は消失した。以上よりα-GalCer投与で活性化されたNKT細胞はTh1細胞の誘導を介して抗線維化サイトカインであるIFN-γの肺内含量を上昇させることによりブレオマイシン肺線維症を抑制するものと考えられた。
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