2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570537
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石井 幸雄 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80272194)
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Keywords | ナチュラルキラーT細胞 / αガラクトシルセラミド / 肺線維症 / インターフェロンγ / Th1 / Th2 / ブレオマイシン |
Research Abstract |
Th1/Th2バランスは多くの疾患の病態形成に重要である。肺線維症においてもTh1サイトカインであるインターフェロン(IFN)-γは線維化を抑制し、Th2サイトカインであるインターロイキン(IL)-4は線維化を促進することが知られている。ナチュラルキラーT(NKT)細胞は糖脂質であるαガラクトシルセラミド(αGalCer)により活性化され強力にIFNγを産生する。従って今回の研究ではαGalCerの肺線維症抑制効果について検討した。動物はブレオマイシンレスポンダーであるC57BL/6野生型マウスと、同系のNKT細胞を欠損するJα281ノックアウト(Jα281^<-/->)マウスを使用した。ブレオマイシンもしくは生理食塩水を経気管的に投与する1日前に、α-GalCerもしくは溶媒を腹腔内投与した。野生型マウスでは,ブレオマイシン投与28日後までに,α-GalCer非投与群(Bleo群)で50%のマウスが死亡したのに対し、α-GalCer投与群(Gal+Bleo群)では死亡率は20%に低下した。ブレオマイシン投与28日の肺組織では、Bleo群で高度な線維化形成が見られたが、Gal+Bleo群では線維化の著明な抑制が見られた。α-GalCerによるこれらの線維化抑制効果はJα281^<-/->マウスでは認められなかった。ブレオマイシン投与7日の肺では両群ともにリンパ球の浸潤が見られ、その約半数はT細胞であった。同時期のGal+Bleo群の肺組織ではではBleo群に比しIFN-γの有意な増加と、TGF-βを始めとした線維化誘導成長因子の有意な低下を認めた。IFN-γ産生細胞の多くはCD4陽性T細胞であった。Jα281^<-/->マウスではα-GalCerによる肺内IFN-γ濃度の上昇もCD4陽性T細胞におけるIFN-γ産生増加も認められなかった。Gal+Bleo群に抗IFN-γ中和抗体を投与すると生存率はBleo群と同程度まで低下し、TGF-βの増加とともに肺の線維化も著明に増強した。以上より、α-GalCerによる肺線維症抑制効果は,IFN-γを介して発揮されるものと思われた.また、α-GalCerによるIFN-γ産生誘導はNKT細胞そのものではなくT細胞活性化を介したものであると考えられた。
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Research Products
(2 results)