2003 Fiscal Year Annual Research Report
COPDの発症に関わる遺伝的素因および細胞周期制御機構の解析
Project/Area Number |
14570541
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
巽 浩一郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (10207061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗山 喬之 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20009723)
白澤 浩 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00216194)
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Keywords | COPD / TNF-α / VEGF / Leptin / 栄養 / 炎症 / 修復 |
Research Abstract |
TNF-αは炎症性サイトカインの一つであり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発症に関与しうる。TNF-αの産生はCOPD症例の気道で増加していることが報告されている。TNF-α遺伝子のプロモーター領域における遺伝子多型を、喫煙が発症に関与したと考えられたCOPD症例において検討した。TNF-αの産生が強いと考えられるTNF-2遺伝子の頻度は、コントロールと比較してCOPD症例において高値であり、TNF-αの遺伝子多型はCOPDの発症に関与していることが示唆された。さらに、TNF-2遺伝子を有する症例は、胸部CT上の低吸収領域を広く認め、肺胞構造の破壊に関与することが示唆された。 中等症以上のCOPD症例では体重減少が認められ、同時に体重と相関して、血中レプチンが低値を示す。本来レプチンが低値になると、食欲が増加して、体重が増加するというフィードバック機構が作用するはずであるが、COPD患者では、やせの状態が維持される。その病因として、レプチンおよびその受容体の相互作用の機能低下が考えられる。そこで、レプチン受容体の遺伝子多型の一つであるGln223Argの多型を、COPD症例と対照群とで検討した。しかし、この多型には有意差は認められず、Gln223Arg多型以外の要因が、COPDの体重減少に関与していると考えられた。 肺胞細胞・血管内皮細胞を含む肺細胞のアポトーシスはCOPDの発症機序に関与している可能性がある。肺細胞におけるアポトーシスの機序の一部には、vascular endothelial growth factor (VEGF)の発現の減少が関与している。VEGF遺伝子の3'非翻訳領域における936の位置のTからCへの遺伝子変異は、血清VEGFレベルの低下と因果関係があると報告されている。そこでVEGFの発現低下がCOPDの発症に関与しているかどうかを検討した結果、VEGF 936の1/2の変異はCOPDの発症と関係があり、COPDの発症機序の一つとして、アポトーシスの関与が示唆された。
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[Publications] Sakao S, Tatsumi K, et al.: "Association of TNF-α gene promoter polymorphism with low attenuation areas on HRCT in patients with COPD."Chest. 122. 416-420 (2002)
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[Publications] Iioka Y, Tatsumi K, et al.: "The effect of insulin-like growth factor on nitrogen balance during hypoxic exposure."Eur.Resp.J.. 20. 293-299 (2002)
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[Publications] Sakao S, Tatsumi K, et al.: "Vascular endothelial growth factor and the risk of smoking-related COPD."Chest. 124. 323-327 (2003)