2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570557
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岡 三喜男 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (40223995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早田 宏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (60244042)
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Keywords | 薬剤耐性 / 癌化学療法 / 肺癌 / 茎剤輸送蛋白 / トポイソメラーゼ阻害薬 / ヒストン脱アセチル化阻害剤 / テロメラーゼ / 乳癌耐性蛋白 |
Research Abstract |
我々は、これまでに乳癌耐性蛋白が肺癌治療薬のトポイソメラーゼ1阻害剤の比較的特異な排出蛋白であること報告してきた。さらにこの乳癌耐性蛋白は、直接薬剤と会合して細胞外に瞬時に排出することを報告した。 これらの成果を基に、乳癌耐性蛋白の基質となり難い薬剤の分子設計を試みた。強力な抗癌剤であるトポイソメラーゼ1阻害剤SN-38の各種誘導体を作成し、乳癌耐性蛋白を強発現する細胞の膜小胞輸送実験でその基質特異性を解析した。その結果、より極性の高い誘導体が耐性を克服して、有効な抗癌剤に成り得ることを明らかにした。 これらの実験とは別に、クーママイシン系抗生物質であるノボビオシンが乳癌耐性蛋白の基質となり、臨床的にも安全な濃度で競合的に乳癌耐性蛋白の機能を阻害することを初めて明快に証明した(2002年、第93回米国癌学会で発表した)。このクーママイシンは、臨床的にも以前から耐性克服薬として臨床試験が海外でおこなわれており、詳細な耐性機序が不明であった。このような経過から、この新知見を特許出願することを考えている。 新規肺癌治療薬として、ヒストン脱アセチル化阻害剤FR901228がテロメラーゼ活性を阻害することを初めて明らかにした(2002年、第93回米国癌学会で発表し、現在、論文印刷中)。従来より肺小細胞癌にはテロメラーゼ活性が高いことが知られており、我々が行った実験でも各種抗癌剤に耐性の小細胞肺癌に有効であることを証明した。今後、肺癌治療薬としての臨床応用に道を開拓して画期的な成果と考えられる。 このように、今回の研究では多くの新知見が得られ、新規抗癌剤の開発に多大な貢献をした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Oka M, Fukuda M, Soda H, et al.: "Phase I study of irinotecan and cisplatin with concurrent split-course radiotherapy in limited-disease small-cell lung cancer"European Journal of Cancer. 38. 1998-2004 (2002)
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[Publications] Kasai T, Oka M, Soda H, et al.: "Phase I and pharmacokinetic study of paclitaxel and irinotecan for patients with advanced non-small cell lung cancer"European Journal of Cancer. 38. 1871-1878 (2002)
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[Publications] Suenaga M, Soda H, Oka M, et al.: "Histone deacetylase inhibitors suppress telomerase reverse transcriptase mRNA expression in prostate cancer"International Journal of Cancer. 97. 621-625 (2002)
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[Publications] Tsurutani J, Komiya T, Oka M, et al.: "Mutational analysis of the beta-tublin gene in lung cancer"Lung Cancer. 35. 11-16 (2002)
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[Publications] Tsurutani J, Soda H, Oka M, et al.: "Antiproliferative effects of the histone deacetylase inhibitor FR901228 on small-cell lung cancer cell lines and drug-resistant sublines"International Journal of Cancer. (印刷中). (2003)
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[Publications] 岡 三喜男: "肺癌の抗癌剤耐性の分子機構"呼吸. 21. 779-787 (2002)